故郷のメディアはいま

2012年8月29日

»著者プロフィール
閉じる

小田桐 誠 (おだぎり・まこと)

ジャーナリスト

1953年、青森県生まれ。亜細亜大学法学部卒業。出版社勤務を経てフリーのジャーナリストに。2004年7月から4年間、放送専門誌『GALAC』編集長。現在、法政大学と武蔵大学社会学部兼任講師。BPO(放送倫理・番組向上機構)「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事・選奨事業委員長。近著に『NHK独り勝ちの功罪』(ベスト新書)がある。

「アジアに雪を」で北海道をアピール

 局だけではなく、北海道の観光産業にとってもヒットにつながったのが、自然・紀行ドキュメンタリー番組を中心とする海外配信だ。同局は1997年から、住友商事やTBSなどとともに出資して前年の96年に設立したJET(ジャパン・エンターテイメント・テレビジョン)を通じて「北海道アワー」という番組を東南アジアのCATV局に提供してきた。

 番組のコンセプトは「アジアに雪を」。雪に触ったことはもちろん、雪を見たこともない台湾やマレーシアに人たちは、雪へのあこがれが強い。その人たちへ「雪の北海道」をアピールしようと考えたのである。

 その狙いは当たり、95年当時5万人だった台湾からの観光客は07年には30万人弱と6倍になった。韓国や香港からもそれぞれ10万人以上が来道している。6月から10月の観光シーズンは、雪を求めてやって来る海外観光客の増加で通年産業になった。道の観光産業で見ると、95年1兆円だったのが11年には2兆円に膨らんだという。HTBには観光産業とそれに伴う雇用拡大に貢献したとして、道から感謝状が贈られている。

 来年は開局45周年を迎えるHTB。この30年ほどの同局の動向をウォッチングしていると、まさに「天国と地獄」「ピンチはチャンス」という表現がぴったりくる。それはまた、同局の信条である「地域のために情報を発信し、みんなで地域をつくります」をひたむきに実践してきた歴史でもある。

[特集] ひと味違ったエンタメ情報!


「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。

関連記事

新着記事

»もっと見る