今月の旅指南

2012年9月28日

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狩野直美 (かのう・なおみ)

東京生まれ。フリーライター。旅行業界誌の記者・編集者を経て、1994年からフリーランスに。主に海外旅行関連誌、ウェブマガジン等に記事を執筆中。

 愛知県西部の津島市は古くから物流の要所として栄え、戦国時代には尾張を代表する商都として、織田信長の躍進を経済面で支えたという。初夏の藤まつり、夏の天王祭と祭りの盛んな土地柄でもあり、秋には300年の歴史を持つ尾張津島秋まつりが開催される。祭りの主役となるのは、各地区に代々伝わる華やかな山車(だし)だ。

山車に提灯の明かりがともると、祭りの興奮も最高潮に

 「津島の山車の一番の特徴は “車切(しゃぎり)”です。よそのお祭りでは交差点で向きを変えるのも車切といいますが、津島では担ぎ手が山車の前に付いた梶棒を持ち上げて、後ろの梶棒は下へと押さえながら、中心の車輪を軸に山車をくるくる回すのです。今では時間制限があって長い時間車切を続けることはありませんが、かつては2時間近く回し続け、舗装道路に穴が開くこともあったほどです」

 と語るのは、津島山車保存会会長の積木隆さん。

 長年にわたって受け継がれてきた山車は、七切(ななきり)、向島(むかいじま)、今市場(いまいちば)、神守(かもり)の各地区で合計16台あり、それぞれからくり人形を載せている。お囃子に合わせて人形が踊ったり、逆立ちをしたり、太鼓や鉦(かね)を鳴らしたり、あるいは筆を手に文字を書いたりと、山車ごとに趣向を凝らしたからくりの妙技も見どころの1つだ。

 尾張津島秋まつりは2日間にわたって催され、初日は各地区の氏神社へ山車が繰り出して参拝する。2日目には午後1時に津島駅前広場に山車が集まり、からくりと車切を披露する。その後、神守地区を除く3地区の山車11台が津島神社に集結。からくり奉納と祈祷の後、各山車が順次通りに出て並び、一斉車切を盛大に繰り広げる。そして、それぞれの山車は各町内を巡行しながら戻っていく。

 「夜になると、山車には提灯(ちょうちん)の明かりがともります。一斉車切の舞台となる池須通(いけすどおり)には街灯もなく、ろうそくでともした提灯の明かりがゆらゆら揺れる光景は、最も絵になるシーンでしょう」

 闇夜に浮かぶ提灯と、車切の熱気に、昔の庶民も楽しんだ秋祭りの情景が重なって見えるようだ。

尾張津島秋まつり
<開催日>2012年10月6~7日
<会場>愛知県津島市・津島駅前、津島神社など(名鉄津島線津島駅下車)
<問>津島市観光協会 0567(28)8051
http://www.tsushima-kankou.com/

◆ 「ひととき」2012年10月号より

 

 

 

 


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