2024年4月23日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年9月17日

 言わんとすることは、アメリカのアジア復帰などと言っても、アメリカ自身も、同盟国である日本も韓国も、ロクに防衛費を増やす気もないし、東南アジア諸国も積極的に協力しようとしないのだから、看板倒れになるだけであり、それよりも重要なのは中国の政治経済が健全に発展するのを期待することだ、ということです。

 確かに、アメリカのアジア復帰に対して、これに協力して東アジアの防衛体制を固めようという動きは、(おそらく豪州と言う例外を除いては)表立っては見られません。しかし、米国のアジア復帰が内心歓迎されていることについて、この論説は注意を払っていません。ベトナム敗退以来、米国を同盟国と呼ぶことさえ憚っていたフィリピンが堂々と同盟を口にし、ベトナム以来の怨敵である米越関係が改善されつつあることの背後には、アメリカのアジア復帰宣言でアメリカが回復したアジアにおける信頼感があると言えます。

 そこから、積極的な対米協力に至る道程は、各国の経済・政治情勢の下において、容易ではありませんが、アメリカがアジア復帰の方針を貫く限り、対中バランシングという将来の方向性は見えていると考えてよいのではないでしょうか。

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