世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年9月24日

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 日本は米の核の傘が有効に機能してくれないと困るので、米の核戦力を健全に保つべしと言うベンディコワのような論説は、日本にとり有益です。

 オバマ大統領は核兵器の無い世界に近づきたいということから、核兵器の数を減らすことに熱心ですが、核兵器の数を減らせば核戦争の危険が減るということにはなりません。

 要するに、核兵器を持って対峙している国々の間に、相互確証破壊関係が成立して、核兵器を使えないということになればいいのです。しかし、核兵器の数をアンバランスに減らすと、そういう「安定性」を阻害してしまう恐れさえあります。

 米の核兵器が健全であるためには、老巧化してきている運搬手段の近代化が必要でしょう。ICBM、SLBM、戦略爆撃機の3本柱は維持しないと、攻撃を受けた際の反応の柔軟性を失いかねません。昔の大量報復、つまり対都市攻撃戦略を変更することは、抑止の有効性に疑問を投げかけることになります。

 更にベンディコワが指摘しているように、技術的ノウハウを持った人材を確保しておくことも、米の核兵器の健全性保持のためには必要でしょう。

 米国の国防予算の削減がどこまで行われるのか、自動削減は発動されるのか、未だ分かりませんが、それがアジア回帰に及ぼす影響や核の傘に与える影響に細心の注意を持ってフォローしていく必要があります。

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