ちょっと寄り道うまいもの

2012年11月2日

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 待ち合わせの場所は「たこりき」。どこまでもアーケードが続く、からほり商店街の横町にあるたこ焼き屋である。とはいえ、ただのたこ焼き屋ではない。スパークリングをはじめとするワインに合うたこ焼きの店。グラス売りから、シャンパンのボトルまで各種そろえてある。それで、“たこシャン”という組み合わせの店である。

たこ焼きを求めて子どもが並ぶ「たこりき」。この店でシャンパンとは意外すぎる!

 当然、ソース味でも、明石焼きでもない。そのままで味わえるたこ焼き。あるいは「冷めた」ではなくて、急冷した冷やしたこ焼きなども。そんな意外性に驚きつつ、スパークリングワインとの相性を楽しむ。

 なるほど、たこ焼きは欧米のパーティーで登場するつまみ、フィンガーフードのような位置付けになり得るのだ。ワインにも合うという可能性の発見が楽しいのだ。

 さて。連れも来た。小腹も満たした。喉も潤った。予約をした店に行こう。

 かつて、そんな気の利いたカウンター割烹があるとは想像もつかぬ大阪の住宅地に、「津むら」という店があった。その落差と、素晴らしい料理のために通った。私だけでなく、たとえば、先に亡くなった音楽家の加藤和彦さんのように、食いしん坊で知られたファンがいっぱいいた。

 「第二の人生を楽しむ」といって、惜しまれつつもリタイアしたのだけど、その主だった津村真次さんが今日の連れ。私の関西の味の基本を作った人物に、最近のお気に入りに案内してもらおうという趣向なのだ。

 連れて行かれたのが、「宮本」。この夏前に開いたばかりの新しい割烹である。栗の一枚板のカウンターが美しい。設(しつら)えも過ぎず、不足なく、好ましい。

 何が注目かといって、主人は大阪の和食の王道とでもいうべき「本湖月(ほんこげつ)」、女将もミシュランの星を持つ「藤久(ふじきゅう)」というお店の出身であること。着物姿が板についているものだから、想像もつかぬが、女将ももともとは料理人である。つまり、どちらも星の付く料理屋とはいえ、傾向がかなり違うお店出身の二人が夫婦となり、始めた店なのだ。

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