世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年10月3日

 米スタンフォード大学ロースクール上級講師のワイナーが、8月27日付ワシントン・ポスト掲載の論説で、ベトナムの人権状況に改善の無い限り、ベトナムのTPP加盟を認めるべきでない、と論じています。

 すなわち、先月ハノイを訪問したクリントン国務長官は、本年末までにベトナムとTPP協定を締結すると述べた。ベトナムが貿易拡大による経済発展を目指すことは理解できるところであり、米国がそれを支援することは結構なことと言える。しかしながら、ベトナムの政治システムが過去からの抑圧的権威主義にどっぷり嵌まり続けていることを忘れてはならない。

 クリントン長官が上記の発言を行った時期は、ベトナム政府が多数の人権・社会問題活動家を反国家宣伝の容疑で拘束してから一年目を迎える直前であった。これら活動家の殆ど全員が依然として勾留或いは自宅監禁下にある。

 この一年間にベトナム政府は、カトリックのレデンプトール修道会関係者を多数逮捕したが、これは少数宗派の差別だ。全員がオンライン・ジャーナリスト、ブロガーとして、市民レベル・ジャーナリスムの訓練活動にも参加していた。ベトナム政府による言論の自由の弾圧だ。

 米国は、ベトナム政府に対し人権に関わる国際的義務の尊重を強く求めることなく、ベトナムとの通商関係の深化を促進するような短絡的行動は避けるべきだ。米国は、ベトナム政府に対し、昨年逮捕した活動家や自国の将来につき発言しただけで逮捕された人士の釈放を要求すべきである。ハノイの政府が反対意見を抑圧し、人権侵害を続ける限り、ベトナムをTPPに参加させるべきではない、と主張しています。

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 TPPの締結が米議会で審議される段階になれば、ワイナーの述べているような人権問題は論点になるでしょう。

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