2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年10月5日

 この論説を読むと、「イラク戦争とは何であったのか」との感慨を禁じ得ません。しかし、曲がりなりにも選挙は行われていますし、米国が残した遺産は解体されつつありますが、少しは残っています。

 ザケイムは、地位協定をきちんとしたものにし、2011年以降も相当数の米軍を駐留させておけば、こういうことにはならなかったであろう、と言っています。しかし、イラクの将来は結局イラク人の選択に委ねざるを得ないので、遅かれ早かれ今のような状況に陥ったのではないかと思われます。ただ、サダムが統治するイラクと今のイラクを比較すれば、今のイラクのほうが良いとは言えるでしょう。

 外部からの「民主化」というのは、一種の革命の輸出です。ロシアも中国もイランも革命の輸出に失敗しています。これらの国と比較すると、米ほど民主革命の輸出で成功を収めた国はないと考えられますが、イラクは失敗に近いと現状では判断できます。

 ただ、イラクの石油生産は日量320万バーレルにも達しており、イランやアラブ首長国連邦を凌駕しています。その富を上手く使えば、イラクが良い国になる可能性は、まだまだ十分にあります。

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