シルバー民主主義に泣く若者

2012年9月27日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

中部圏社会経済研究所研究部長

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。12年4月より現職。*記事はすべて筆者の個人的見解であって、筆者の所属組織とは無関係です。

 2010年時点の日本の財政収支不均衡額は2,245.6兆円程度であり、現在の日本の財政スタンスをこのまま維持した場合、この債務額の解消策を講じない限り、持続可能ではないことが確認できる。また、2010年度の実質GDPは511.1兆円程度であるので、日本の持続可能性ギャップは439.3%となる。

 次に、こうした大きな持続可能性ギャップを埋めるために必要な債務の削減額を、一定の前提のもとに計算すると、即時かつ恒久的に、GDP比で13.1%程度の支出収入改革を行わなければならない。この額は2010年度のGDPで換算すると67.2兆円に相当する。

 このように、一般政府が抱える債務は巨額であり、一般政府財政の持続可能性を維持するためには、かなり大胆な施策が必要となる。それには、支出削減と収入増加の2つの方法がある。ここでは、即時かつ恒久的に、租税や社会保険料等政府収入を引き上げるケースと、財政支出や社会保障支出等政府支出を削減するケースを考えてみよう。

 まず、収入を引き上げるケースについては、即時かつ恒久的に、30.6%増加させ続けなければ、政府財政がいずれかの時点で破綻してしまうことになる。

 一方、支出削減のケースにつては、一般政府の総支出を、即時かつ恒久的に、25.0%削減し続けなければ、政府の予算制約式が均衡しないことになる。

 ところで、これまで必要な施策は即時かつ恒久的に実施に移されるものと仮定してきたが、実際、国民に多くの痛みを強いる財政再建の実施は遅れがちである。この場合、収入増加であろうと支出削減であろうと、財政再建の遅延はそうでない場合に比べて大きな負担を残すこととなる。

財政再建遅れの影響

(図1) 財政の持続可能性ギャップの国際比較
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 例えば、財政再建が10年遅れた場合、収入増加策は30.6%から42.5%へと12%ポイント程度増加し、支出削減策は25.0%から34.7%へと10%ポイント程度増加すると試算された。つまり、2010年度時点の金額に換算すると、財政再建10年の遅れのコストは1年当たり25.5兆円程度に相当する。

 ところで、先に、日本の財政の持続可能性ギャップは基準年のGDPに比して439.3%であると試算されたが、この数値は国際的に見るとどのような位置にあるのであろうか。Hagist, Moog, Raffelhüschen and Vatter(2009)の結果によると、下図のようになる(図1)。日本以外の国の推計時点は2004年と、財政支出が急激に膨らんだリーマンショック前のものであり、かつマクロ経済想定も異なるため直接的な比較は困難なものの、日本のギャップは国際的に見ても大きいグループに属することが分かる。

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