日本は休みが多いと言われても、実感がわかない人がほとんどだろう。
実は祝日のような「一斉休み」の多さが、逆に長期休暇の取得を妨げている。
個人の判断で、休むときは大いに休み、働く時は大いに働く。
そんな生産性を上げる効率的な働き方を追求する時代が来ている。
「日本人はそんなに長時間働いて、人口もドイツの1.6倍なのに、GDP(国内総生産)はたかだか2倍ちょっと。生産性が低いんじゃないのか」
四半世紀以上も前の学生時代、ドイツ人学生に言われた言葉が忘れられない。当時は日本のGDPは米国に次いで2位、ドイツは3位だった。しかも、日本人の働き過ぎが批判されていた時代だ。ドイツ人学生はやっかみ半分で言ったのだろう。
その後、日本はバブル経済に突入、「24時間戦えますか」という三共(現第一三共ヘルスケア)の栄養ドリンク「リゲイン」のCMソングが大ヒットしたりした。日本の経済成長を支えた一因が長時間労働にあったことは自他共に認めるところだ。
当時、「ドイツ人は働かない」というのが定説になっていた。組合が強いため、残業は拒否、長期休暇をたっぷり楽しみ、手当も充実している。ちょうど日本と正反対といえる状況だった。
当時の日本の、1人当たり年間平均総労働時間は2200時間を超えていた。ドイツは1600時間あまりだった。そんな日本の長時間労働は国際的にも非難を浴びたのは言うまでもない。銀行が土曜休業になったのをきっかけに、週休2日が一気に広がっていった。とにかく、労働時間の短縮が国家を挙げての課題だったのだ。
労働政策研究・研修機構の調査によると、2010年の年間総労働時間は1733時間。ドイツの1419時間には及ばないが、遂に米国(1778時間)を下回り、イタリア(1778時間)やニュージーランド(1758時間)よりも短くなった。長引くデフレによって残業が大幅に減少したことも要因だが、ともあれ、労働時間の短縮は着実に進んだのである。