2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年10月9日

 ゲーツの話には驚きました。国防費の大幅削減という抜本的な政策を、国防長官が発表の前日まで知らされていないということがあり得るのでしょうか。今まで聞いたことが無い話なので、初めて明らかにされたのではないでしょうか。

 ここから、オバマ政権の安全保障政策に対する考え方の背景が分かります。2009年に大統領に就任し、共和党政権以来国民的に評判の良いゲーツ国防長官を留任させ、元統合参謀本部議長ジョーンズを安全保障補佐官にするという無難な人事を行っていましたが、2010年のドニロン補佐官の指名の頃から、オバマ大統領は、かねてから心に抱いていた政策、おそらくは軍事費の大幅削減と社会保障の充実を、少しずつ実行に移して来たように思われます。

 とすると、1兆ドルの削減は、現在は、パネッタ国防長官自身さえも非現実的であるとしていますが、オバマ再選の後は、その全部でなくても、相当に現実味を帯びたものになる可能性があります。現在、その先行きが全く見えていないのは、オバマ大統領がその意中を明らかにしないことも、一つの理由でしょう。

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