2024年4月18日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2012年10月6日

 昨年の全仏オープンテニス女子シングルス覇者、李娜が9月下旬、東京での東レ・パンパシフィック・オープンに出場したことにインターネット上などで「漢奸(売国奴)」とののしる嵐が吹き荒れたことは、中国の異常な集団心理を表している。これに対して共産主義青年団(共青団)の機関紙・中国青年報は、「彼らの口から嵐のごとく出てくる『漢奸』の二文字は社会を害している」と強く批判したが、日中関係悪化の背景には、今も変わらない中国人の歴史観が働いているのだ。

高村・自民党副総裁がカギに

 共産党・政府が「野田政権を対手(あいて)とせず」を鮮明とする中、期待しているのは日本の政権交代に伴う対中政策の調整だ。

 「安倍さんは小泉さんの後を継いで2006年に首相になった際、靖国参拝を封印して中国との戦略的互恵関係の基礎を築いた」と、今も評価する中国の対日当局者は多い。賈慶林と会談した日中友好議員連盟会長・高村正彦元外相は、安倍の下で自民党副総裁に就任したが、高村は中国側から厚い信頼を得ている。

 9月27日夜、釣魚台迎賓館で唐家璇主催の夕食会に出席した高村は、唐と約15分間にわたり立ち話をしたという。日本の政界に精通した日中関係筋は「自民党総裁選で安倍を支援した高村が、安倍の対中政策を保証することを唐も期待しているのは間違いない」と解説した。


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