2024年4月18日(木)

渡辺将人の「アメリカを読む」

2012年10月22日

 「きょう選挙があればオバマが勝つ」としながらも、ローゼンバーグは「このままでは危ない」として、経済と原油価格など外部情勢に懸念を示した上で、「共和党ロムニーには悪いプランだが、一応プランがあるが、オバマにはプランがない」(6月時点)と指摘した。ロムニーのように「自分は初日には、これこれする」という「私にはプランがある」というメッセージがオバマには欠けていると見ていた。「強いリーダー」か「弱いリーダー」かが有権者の判断基準になるとした上で、「オバマ陣営はオサマ・ビンランディンを捕まえたことが強いリーダーである証明に永遠になり続けると思っていたようだが、それは違うと思う」と述べた。

オバマ陣営スローガンに欠けているもの

 ローゼンバーグに対して、「オバマ陣営」が公式スローガンの「FORWARD(前へ)」とは別に「ビンラディンは死に、GMは生き残った」を流布していることを聞いてみた。ローゼンバーグは「自分ならこういうスローガンにする」として、「アメリカはアメリカの王を担げ(America has to Raise its King.)」を提案した。国王のいないアメリカで今求められているのは「キング」であると。強いリーダーの必要性である。

 また、ビジネスを悪魔化して叩く過度の「経済ポピュリズム」には難色を示した。むしろ今求められているのは、世界が変容している中でグローバルな競争に対する適応を示すことなのだと指摘した。しかし、「GMは生き残った」と言ってデトロイトを安心させていても、グローバルな現実は厳しいと示唆する。

 「オバマ陣営はアメリカの人々の眼前にあまりに大きな経済的な変化を示すことを怖がっている。それは怖いことだ。アメリカも日本も激変する世界にどう対応できるかが問われている。ビジネスと同じだ。オリンピックは早晩行き詰まるが、それはオリンピックが環境変化に対応してこなかったからだ。ソニーは変化に適応しようともがいている」

 ローゼンバーグはグローバリゼーションへの変化のロードマップがないことが、共和党ロムニー/ライアン陣営の弱点であると考えている。オバマ陣営にとっても「前へ」だけでは弱く、その先の適応ビジョンが必要なのだと説く。

 「日本企業には上手に変化に適応している例もたくさんある。トヨタはグローバルな新たな機会に対応する変質を上手にしている。アメリカや日本は国としてそれができるのかだ。私はこれこそが今年の大統領選挙の本質になると思っている。オバマがそう選挙を定義すれば、共和党は何も返せない。ポール・ライアンの予算はある意味では素晴らしい出来だ。現代版のいんちきな薬のセールスマンだ。しかし、グローバリゼーションに何も触れていない。共和党はイデオロギー的に1980年代で凍結されたかのようだ」


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