都会に根を張る一店舗主義

2012年10月26日

»著者プロフィール

 鴨川は、都会ではない。しかし、都会に暮らす私たちだからこそ、たまには、海でも眺めて毒抜き、いや息抜きしたい。

 こと、賑やかなシーズンを終えた季節はずれの静かな海はいい。というわけで、今日は千葉県の鴨川市、江見にある『里海食堂 FUSABUSA』をご紹介しよう。

地元の素材を活かすことを追求

「里海食堂 FUSABUSA」

 「魚のおいしいイタリアンが鴨川にあるからさ、行かない?」と友人の水野に誘われた。水野奈保子さんは、『アッティコ』というコーディネイト会社兼イタリア文化サロンを、イタリア在住の友と営む物好きな人で、とにかく、外食産業にはよく投資している。その彼女が言うのだから、きっとおいしいに違いない。鴨川までは、車で送ってもらえるのかと期待していたら、蓋を開ければ、10人近い女子会だった。

 そんなわけで週末の早朝、浜松町のバスターミナルに集合し、鴨川まで1000円で直接行ける格安のシャトルバスに乗り込んで、アクアライン経由で約2時間。

 実は、鴨川にあるのは、海と砂浜だけではない。375枚の大山千枚田、それに温泉だってある。エステもできる温泉ホテルなどもあるが、今回は、食泊分離ということで温泉付きの国民宿舎で手を打つことにした。まずは荷物を降ろし、お昼はそばでもすすって、海を見下ろす展望台にのぼると、その予想外の美しさにため息がこぼれた。

 午後も散歩で腹ごなしをすると、いよいよ、タクシーで『FUSABUSA』へ。

 水野はイタリアンと言ったが、事前に店のサイトを覗くと、「カジュアル・フレンチ&イタリアン。バル、ビストロの感覚で、自然派ワインや国産ワインをいただける」と書いてある。いざ店の前に立ってみると、木造の一軒家は、お洒落な海辺のカフェのようでも、どこか和食屋のようなでもあった。

 そこで、女主人の小野薫さんにまず、そのあたりを伺ってみると、「最初は、もっとフレンチ寄りだったのですが、地元の素材の風味を活かすことを追求するうちに、鍋をやったり、ご飯を出したり、和食のようになってきた。それにお客さんからのリクエストが多くて、パスタのメニューがどんどん増えてイタリアンの要素も濃くなった。どう呼べばいいのか……」と、ますます悩ましい課題となっていた。

 やっぱり端的に表現すれば、里海食堂なのかもしれない。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る