2024年4月20日(土)

喧嘩の作法

2012年11月2日

 60年ほど前は日本企業が新興勢力として欧米企業からレッスンを受けたが、それでも日本は戦時中でさえ零戦のプロペラのライセンス料を米国の企業に支払いながら戦ったという話があるぐらい、元々ビジネスマナーを重視する傾向が強い。それは良さであるが、今、新興勢力に同じことを期待して座して待つのは戦略ではない。今、日本企業の知財戦略の転換はどうあるべきか。

 例えば以下のシフトは意味がある。権利行使を知財活動の中心にすえる。それに役立つものだけを出願する。権利行使をうまく行うことによって日本企業の持つ膨大な知財が生きる。特に大学、公的研究機関、中小企業の海外の知財は黙って使っても、どうせ市場を見ていないから権利行使してこない、と見透かされている。もし黙って使おうとするのが彼らの戦略なら、こちらは権利行使をする戦略をとらなければいけない。大学のように海外で自分の権利のフォローができない場合には、代行するというビジネスチャンスも新たに生まれる。

 現在ストックとして多すぎる日本の中での知財を日本企業同士で相互に利用しやすくするため標準にからめる戦略も意味がある。知財による独占と標準による共用は戦略として同次元で考えなければいけないことは論を俟たない。

◆WEDGE2012年11月号より

 

 

 

 

 

 
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