2024年4月17日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年11月5日

 中国側の対応については、暴徒化したデモを批判し、外交上の抗議で済ませればよいのに、監視船などを送ったのは軍事衝突の危険を増やし行き過ぎであると批判しています。

 その上で、中国が代償なしにナショナリズムの怒りを発散し得ると考えないように、米国はしっかり対応すべきであると指摘しています。

 当然の論ではありますが、日本にとって有難い論です。

 中国に対しては、大使館への被害の賠償要求を行ない、日本企業への被害の賠償も被害を防ぐために当局が十分な措置を怠ったということで、当局の責任も追及していくべきでしょう。暴動のような違法行為の容認には、コストが伴うことを示しておくべきです。

 更に、対中投資についても、中国への資本財の供給についても、WTOのルールは守りつつ、対中措置を検討したら良いと思います。日中経済関係は、相互依存の関係にありますが、貿易構造を見ると、中国は消費財を、日本は資本財を提供しています。その点、日本の方が、比較的有利な立場にあります。そういう有利さを遠慮なしに活用する方策を考えて行くべきでしょう。対中投資を減らし、その分、東南アジア諸国に振り向けることも良いでしょう。反日暴動行為への代償を、中国は払うべきでしょう。それによって、中国の一方的な行動を抑制でき、より正常な関係を築けるのです。正常な関係を築けてこそ、将来的にも発展させられる関係になるのではないかと思います。

 今回の問題を短期的に修復するのも重要ですが、事態の再発防止も念頭に、中長期的に日中関係をどうすべきか、知恵を絞る必要があります。

 なお、中国側は、暴動を容認したなどの弱みもあるので、強硬に自分の考えを主張してくると見込まれますが、アジアの将来の安定を考えれば、安易に譲ることは禁物です。

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