復活のキーワード

2012年11月8日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、東京証券部、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務める。11年からフリーに。熊本学園大学招聘教授。近著に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)。

日本企業でもアジアの駐在員が集まるときは韓国・仁川空港を利用するのが便利だという。
国際線が多く乗り入れ、だから利用者も増えるというのが国際ハブ空港だ。
アジアの三大ハブは、香港、シンガポール、バンコクで、成田(東京)は脱落した。
もう一度、国際ハブ空港になるためには、成田、羽田の首都圏空港を一体化するしかない。

 日本経済を復活させるには、世界からヒト・モノ・カネをいかに呼び込むかがカギとなる。その入り口とも言える象徴的な存在が「空港」である。

 国際線旅客利用者数の空港別ランキングで見ると、2006年には、香港国際空港が世界5位で4327万人、次いで6位が日本の成田空港で3386万人、7位がシンガポール・チャンギ国際空港の3336万人だった。つまり、香港、東京(成田)、シンガポールがアジアの三大ハブ空港だったわけである。つい6年前のことだ。

 当時すでに、アジアでの「ハブ争い」は熾烈さを増していた。1998年に香港が大規模な国際空港を完成させ、01年には韓国の仁川国際空港が開業。タイも06年、バンコクに新しいスワンナプーム国際空港を開いた。チャンギ空港も06年に格安航空会社専用ターミナルを開業、08年には「ターミナル3」もオープンさせた。空港の大規模化は、自国の旅客需要を賄うためではない。アジアへやってくる世界中の人々の玄関口になることを狙ったのだ。

 遅まきながら日本も、07年に当時の安倍晋三内閣が「オープンスカイ」「アジア・ゲートウェイ」といった構想を掲げた。柱は羽田空港の国際化。国土交通省などの抵抗を押し切って、「国際線は成田、羽田は国内線」という不文律を打ち破った。10年秋に国際線ターミナルが完成。11年度には724万人が国際線を利用した。だが、他のアジア諸国の大規模な投資戦略に比べれば月とすっぽん。小手先の対応と言えた。

 11年の国際線旅客数の空港別ランキングでは、香港が5274万人で世界3位に躍進、シンガポールが4542万人で7位を死守したものの、成田は2633万人で13位へと後退した。その代わりにタイのスワンナプームが8位、韓国の仁川が9位となった。成田はアジアの三大ハブから陥落してしまったわけだ。

 成田空港では格安航空会社専用ターミナルの建設などが進んでいるが、夜間発着ができないうえ、空港の大規模な拡張の余地はない。羽田では国際線ターミナルの拡張などが行われているが、沖合へのさらなる再拡張など本格的な大規模化には時間がかかる。運用の見直しだけで発着回数を増やしていくのには限界があり、このままでは簡単にアジアのハブを奪還できない。

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