復活のキーワード

2012年11月8日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

日本企業でもアジアの駐在員が集まるときは韓国・仁川空港を利用するのが便利だという。
国際線が多く乗り入れ、だから利用者も増えるというのが国際ハブ空港だ。
アジアの三大ハブは、香港、シンガポール、バンコクで、成田(東京)は脱落した。
もう一度、国際ハブ空港になるためには、成田、羽田の首都圏空港を一体化するしかない。

 日本経済を復活させるには、世界からヒト・モノ・カネをいかに呼び込むかがカギとなる。その入り口とも言える象徴的な存在が「空港」である。

 国際線旅客利用者数の空港別ランキングで見ると、2006年には、香港国際空港が世界5位で4327万人、次いで6位が日本の成田空港で3386万人、7位がシンガポール・チャンギ国際空港の3336万人だった。つまり、香港、東京(成田)、シンガポールがアジアの三大ハブ空港だったわけである。つい6年前のことだ。

 当時すでに、アジアでの「ハブ争い」は熾烈さを増していた。1998年に香港が大規模な国際空港を完成させ、01年には韓国の仁川国際空港が開業。タイも06年、バンコクに新しいスワンナプーム国際空港を開いた。チャンギ空港も06年に格安航空会社専用ターミナルを開業、08年には「ターミナル3」もオープンさせた。空港の大規模化は、自国の旅客需要を賄うためではない。アジアへやってくる世界中の人々の玄関口になることを狙ったのだ。

 遅まきながら日本も、07年に当時の安倍晋三内閣が「オープンスカイ」「アジア・ゲートウェイ」といった構想を掲げた。柱は羽田空港の国際化。国土交通省などの抵抗を押し切って、「国際線は成田、羽田は国内線」という不文律を打ち破った。10年秋に国際線ターミナルが完成。11年度には724万人が国際線を利用した。だが、他のアジア諸国の大規模な投資戦略に比べれば月とすっぽん。小手先の対応と言えた。

 11年の国際線旅客数の空港別ランキングでは、香港が5274万人で世界3位に躍進、シンガポールが4542万人で7位を死守したものの、成田は2633万人で13位へと後退した。その代わりにタイのスワンナプームが8位、韓国の仁川が9位となった。成田はアジアの三大ハブから陥落してしまったわけだ。

 成田空港では格安航空会社専用ターミナルの建設などが進んでいるが、夜間発着ができないうえ、空港の大規模な拡張の余地はない。羽田では国際線ターミナルの拡張などが行われているが、沖合へのさらなる再拡張など本格的な大規模化には時間がかかる。運用の見直しだけで発着回数を増やしていくのには限界があり、このままでは簡単にアジアのハブを奪還できない。

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