渡辺将人の「アメリカを読む」

2012年11月5日

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渡辺将人 (わたなべ・まさひと)

北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院准教授

1975年生まれ。シカゴ大学大学院修了。米下院議員事務所、H・クリントン上院選本部、テレビ東京報道局「ワールドビジネスサテライト」、政治部記者、コロンビア大学、ジョージワシントン大学客員研究員を経て現職。専門はアメリカ政治。著書に『分裂するアメリカ』『オバマのアメリカ』(ともに幻冬舎新書)、『評伝バラク・オバマ』(集英社)、『見えないアメリカ』(講談社現代新書)、『現代アメリカ選挙の集票過程』(日本評論社)、共著に『オバマ政権のアジア戦略』(ウェッジ)、『オバマ・アメリカ・世界』(NTT出版)など。

 共和党の政治イベントに行くと、必ず会場に掲げられているポスターがある。ロナルド・レーガンである。党内の分裂を超えて、レーガンという英雄は共和党支持者にとって永遠である。しかし、タイムマシーンでレーガンが現代に戻ってきたら、はたして今の共和党支持者に心から受け入れられるのだろうか。

 『ブルームバーグ・インサーダー』誌(2012年8月28日号)の特集記事「さらに右傾化:レーガンの妥協的姿勢はティーパーティの強い信念とはぶつかるだろう(Much More to the Right: Reagan's Compromise Would Collide with Tea Party Certitude)」は刺激的だった。レーガンの顔の上に「社会主義者!」という赤い文字を被せた同誌は、レーガンが実は増税もしていたことや民主党との妥協的政治スタイルをとっていたことを指摘し、現代の保守化した共和党にはレーガンも手を焼いただろうと示唆する。

 レーガンは妥協そのものを悪いことと考えていなかった。ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事は、レーガンが現在の激しく右傾化した共和党を率いることは難しいだろうと指摘する。

「ロムニーをもっとロムニーらしくしろ」

 マサチューセッツ州知事を経験し「穏健派」とのレッテルを貼られたこともあるロムニー候補にとって、保守派のライアンを副大統領候補にすることは避けられない選択だった。共和党が信奉するレーガンに直接仕えた人物は、ロムニー候補をどう見ているのだろうか。

 筆者はレーガン大統領のスピーチライターを務めたジョシュア・ギルダー氏と面会し、単独インタビューを行った。ギルダー氏は2期目のレーガン政権においてシニア・スピーチライターを務めた。以下は筆者とギルダー氏のやりとりの一部である。

渡辺:ロムニー氏は予備選で思いのほか苦戦しました。サントラム氏が粘り、ロムニーは穏健過ぎると言う人もいました。そうでないのかもしれません。しかし、ロムニーが本選で勝利するにはどうしたらいいのか。もしあなたがロムニーの専属戦略家あるいはスピーチライターなら、どうしますか?

ギルダー氏:ロムニーをもっとロムニーらしくしろと進言しますね。私はロムニーに必要なのは、彼の役割に徹することだと思います。本来は強い候補者のはずなのです。激戦の予備選を勝ち抜いたわけです。彼の魅力は、静かな、落ち着いている身のこなしだと思います。熱くなる人物ではないが、慎重な判断、落ち着きを嵐のような混乱の中でも示せる。そうした資質が大統領としては求められます。そして政治的リスクをとることもできる。ライアンを選んだことは、有言実行を示していました。

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