オトナの教養 週末の一冊

2012年11月9日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

 11月6日、アメリカ大統領選はオバマ大統領の再選で幕を閉じた。

 2001年開戦以来、収集がつかない事態となったアフガニスタン戦争。現在全土の8割以上をタリバンが掌握するというアフガニスタンにおいて、オバマ大統領は2014年の全面撤退を表明している。アメリカはアフガニスタンの再建を目標にかの地で行動してきたが、果たしてアフガニスタン戦争とはなんだったのか?毎日新聞ワシントン特派員として、アメリカから、そして従軍取材で訪れたアフガニスタンから今回の戦争を日本人の眼で取材した記録が『勝てないアメリカ――「対テロ戦争」の日常』(岩波新書)だ。今回、著者の大治朋子氏に、米軍兵士の死亡原因1位のIED、そして従軍取材で訪れたアフガニスタンについてお話を伺った。

――本書前半部分では、日本のメディアではあまり報じられていないIED(即席爆破装置)とTBI(外傷性脳損傷、外力による脳の組織の損傷。典型的な症状として頭痛、短期記憶障害、不眠、怒りっぽくなるなど)について触れられています。IEDが戦場における米兵死亡の第一の原因であり、また大治さんの言葉を借りるならIEDは「対テロ戦争を象徴する主役の兵器」ということですが、IEDについて教えてください。

大治朋子氏(以下大治氏):対テロ戦争というのは、通常の正規軍同士の戦争ではありません。アメリカ軍は、強大な軍事力を持っていますが、一方のタリバンなどの武装勢力側は装備で劣る。すると、「持たざる者」、つまり装備で劣る側は、自らを危険に晒さずに、正面衝突を避け奇襲戦やゲリラ戦で戦うしかありません。これが装備で劣る側の非対称戦争における原則です。

 そのような状況で武装勢力側が現在もっとも有効な武器として利用しているのが土中や路肩に仕掛ける手製爆弾のIEDです。2009年の終わり頃まで、米軍はアフガニスタンでの戦闘において、バンビーという軽装の軍用車両を使用していました。ところが、このバンビーという車両は非常にIEDに弱かったのです。たとえば、米兵が5人乗ったバンビーがIED攻撃を受けると、5人のうち2、3人は死亡したり重傷を負っていました。

 IEDに為す術のなかった米軍は、2009年の終わり頃から、アフガニスタンに地雷にも耐えうる特殊な大型装甲車のMRAP(耐地雷装甲車)を投入しました。

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