故郷のメディアはいま

2012年11月15日

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小田桐 誠 (おだぎり・まこと)

ジャーナリスト

1953年、青森県生まれ。亜細亜大学法学部卒業。出版社勤務を経てフリーのジャーナリストに。2004年7月から4年間、放送専門誌『GALAC』編集長。現在、法政大学と武蔵大学社会学部兼任講師。BPO(放送倫理・番組向上機構)「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事・選奨事業委員長。近著に『NHK独り勝ちの功罪』(ベスト新書)がある。

 ギャラクシー賞報道活動部門大賞、放送文化基金本賞・映像賞、日本民間放送連盟賞・CM部門最優秀賞など、2011年度の放送番組を対象にした放送各賞で数多くの顕彰を受けたローカル局がある。TBS系のIBC岩手放送だ。「福島県、宮城県と並ぶ被災県だもの」と当然視する読者がいるかもしれない。その放送活動を見ればそういう側面がないわけではないが、そんな単純なものではないことが理解できよう。

続々とメッセージを寄せる著名人たち

 「町は変わってしまっても、そこに住んでいる人達の気持ちや優しさ、ぬくもりは昔と変わらないと思います。逆に、より強まったのではないかと思っております。未来は明るいと思います。ふるさとは負けない! 新沼謙治でした」

 「被災地でお暮しの皆さんは、精神的にも肉体的にもぎりぎりの状況でお過ごしかと思います。私も(出身地の)陸前高田に行ってまいりました。『私のふるさとがなんであんなことになるんだ』。東北沿岸部全域皆さんそういう思いをしている方が大勢いらっしゃると思います。(しかし)復旧復興はできると信じています。生き抜いて耐え抜いて、また再興のために我々と一緒に作り上げていきましょう。ふるさとは負けない! 村上弘明でした」

 「全国の人がね、頑張れ頑張れってね、北国の春を皆に歌って力づけてくださいよとかね、言われるんだけれども、今わね、本当にね・・・・。我々のふるさとっていうのは、いつかきっと春が来るんです。私も歌を通してふるさとを応援します。ふるさとは負けない! 頑張ろう岩手県!」(千昌夫)

 「想像を超えた厳しさで胸が締め付けられる思いがしております。でも昔からですね、岩手の人たちは乗り越えてきましたね。ですから今こそ、もう一度本当に力を振り絞って皆で乗り越えていきましょうよ。ふるさとは負けない! あんべ光俊でした」

 同局は、東日本大震災発生当月の3月30日19時『ふるさとは負けない!~ふるさと岩手へのメッセージ~』を放送した。前述の歌手や役者のほかに、ラグビー社会人・日本選手権での新日鉄釜石7連覇を支えた松尾雄治、「岩手は第二のふるさと」と話す作家の瀬戸内寂聴などがメッセージを寄せた。そして震災発生から2か月が近づいていた昨年の5月2日〈IBC 絆いわて ふるさとは負けない〉キャンペーンを始めた。キャンペーン自体は6月末で終了したが、その精神、局員が挙って参加した募金活動やアナウンサーによる朗読会などを含めた放送活動の蓄積は、今も息づく。

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