チャイナ・ウォッチャーの視点

2012年11月20日

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 中国共産党は11月8日~14日の第18回党大会を経て、15日に第18期中央委員会第1回総会(1中総会)を開き、習近平氏(59)=国家副主席=をトップの総書記とする政治局常務委員7人の党新指導部を発足させた。

 「中華民族の復興に向けて努力する」「汚職・腐敗、官僚主義などの問題は全力で解決しなければならない」--。北京の人民大会堂。習氏は新指導部発足後、約500人の内外メディア記者の前で強調して見せた。

 しかし、世界のチャイナ・ウォッチャーが新指導部を見る目は極めて厳しい。ほとんどのメンバーが保守的な江沢民・元総書記(86)=国家主席=に近く、国民や国際社会の希望に沿った「政治体制改革や協調外交」を積極推進するとはとても思えないからだ。

新指導部は江氏の影響強く

 新指導部は習氏のほか、李克強氏(57)=副首相=、張徳江氏(66)=同=、兪正声氏(67)=上海市党委書記=、劉雲山氏(65)=党中央宣伝部長=、王岐山氏(64)=副首相=、張高麗(66)=天津市党委書記=。(党内序列順)

 平均年齢は胡錦濤前指導部9人より、4歳ほど若返ったが、習、李両氏以外の5人の年齢が高く、5年後の党大会では、みな引退年齢の68歳を超え、退任する見通し。

 習氏は故習仲勲副首相を父親に持つ「太子党」(高級幹部の子弟)であり、江氏に引き立てられ、今の地位まで上り詰めたという。李氏は胡氏と同様に党の青年組織、中国共産主義青年団(共青団)出身だが、改革志向の共青団系(胡派)は李氏1人。残りの5人はみな保守的な江氏の影響下にあるとみられている。

 胡氏に近い共青団系の李源潮氏(61)=党中央組織部長=や、広東省で民主化を進めた汪洋氏(57)=同省党委書記=は政治局常務委員になれなかった。

人選をめぐる派閥抗争
江氏の「院政」阻止できず

 新指導部の人選をめぐっては、ぎりぎりまで激しい派閥抗争があった模様だが、胡派は破れ、江氏の「院政」を阻止することはできなかった。

 ただ、胡氏は「完全引退」を決意し、党中央軍事委員会主席のポストも習氏に譲った。江氏が10年前、総書記を辞任した後も2年間、軍事委主席を続けたのとは対称的だ。胡氏は来年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)で国家主席の職も習氏に譲り、党政軍の三権をバトンタッチする。

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