2024年4月19日(金)

ペットビジネス最前線

2012年12月5日

 “物販”での中心は消費財であるフードの分野です。

 飼育の初めから終わりまで必要とされる商品であり、またフードの商品的な成り立ちから、メーカー企業はグローバルな大企業が多く、経営戦略も時間とコストをかけて国内に定着させました。(フードについては第1回 『ラーメンからおせちまで ペットフードビジネスの光と闇』参照)

 ペットの栄養学は、このフードメーカーがもたらした学問の分野と言えるでしょう。

 “サービス”での中心は小動物診療です。

 ペットブームと共に開業医の需要が伸び、家庭動物の臨床における研究も急速に進んできました。医学の発達や技術の進歩により、今では専門医と専門機材を設置したペット専門の高度医療センターや、高度な機器を使った検査専門のセンターなども業種として存在しています。

 記憶している限りここ約20年の間にそれぞれの分野が発展を遂げ、今や一兆円産業と言われる現在のペット産業が築かれました。産業の発展という意味では素晴らしい功績なのだと思います。

 しかし、発展の陰には必ずと言っていいほど問題が付きまといます。外来動物の野生化、ペットの殺処分、パピーミル、悪徳商法、虐待、遺棄など…。今ではこれらの問題を記事にするメディアも増え、社会からも認知され、業界発展の「妨げ」とまでなっています。

 産業としての発展を成し遂げ、ペットを伴侶動物としての社会的な地位にまで押し上げ、かけがえのない家族として生活の場を与えられたペットが普及した現在、この問題を避けたままでは今後の業界の発展は望めないのではないでしょうか?

命を扱うということの責任

 以前にも書かせて頂きましたが、この産業の中心となる商品は“命”です。しかも、人間が当たり前に持ち合わせる“命は尊く大切なもの”や“家族としての愛情”といった感情自体が資本となる産業です。

 そのため問題が浮き彫りになった時、社会的な影響として大きく跳ね返ってきます。

 例えば生体販売。粗利が大きく、小売店でも売上の中心となる分野です。流通方法や悪質な繁殖者の問題が公になり、最近は売上が伸び悩み傾向にあるようです。問題を解決回避し、売上の中心を生体販売からシフトする方法はないのでしょうか?

 例えばフード。原材料の質や添加物に対する問題が公に認識され始めました。また、飼育動物の小型化が進み消費量が減少しています。問題回避に対して小回りが利きにくい体質もあるようですが、消費者が安心して購入できる商品作りの方法はないのでしょうか?


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