2024年4月19日(金)

ペットビジネス最前線

2012年12月5日

 例えば小動物の臨床医。社会的な制度の不備もありますが、共通のサービスや専門的な治療を受けられないことや、増えすぎた同業者同士での医薬品などのダンピング競争が問題視されています。医療と業種の資質に関わる問題です。業界唯一の公的資格を持つ専門職のサービスを、もっと有効に活用できる方法はないのでしょうか?

 詳しくは次回以降触れていきますが、現在様々な分野で、この難題を解決するべく動いている方たちが多く見受けられます。

 命を扱う産業に携わるものとして、襟を正して考えるべき時に来ているのだと感じます。

飼い主の気持ちは障害にも追い風にもなる

 今年の年末は、久しぶりに国政選挙が行われます。色んな問題をそっちのけで、国を動かす方たちの縄張り争いの模様が連日報道されています。面白いのは、各党共通して民意を票に結びつけようと、細かな画策をしている点です。

 以前ほど各党独自の制作や発言に勢いがなくなったようで、国民が目を向けやすい問題をまとめて提示しているだけのようにも見えてしまいます。それだけ今の国内では“民意”が大きな動きを進めるために重要となってきているのだと感じます。

 産業も同じなのではないでしょうか?

 命を扱う以上、飼い主の感情は大きな波となって障害にも追い風にもなるのだと思います。

 ペットに対しての社会的制度は、現在の日本ではまだまだ足りないものだらけだと感じます。愛玩動物の福祉に関わる唯一の法律である(はず)の動物愛護法の中身も、ペット先進国である欧米のそれとは比べ物にならないほど内容が希薄なままです。

 企業でも、社会的・人道的な面を重視してばかりでは現実的に「勝ち組」となれないことは、他の産業も同じなのかもしれません。しかし、今の社会的な風潮として、命に優しいことが何よりも求められていると感じています。

 ペット業界を取り巻く社会的な制度や法律について、基礎となる決めごとやモラルは業界が主導で進めることはできるはずです。もちろん、その際は「命を大切に扱う」という民意を基に、つまらない大人の事情はなるべく少なく、が原則ですが…。

 様々な理由で業界は良い方向へと転換しなくてはならない時期に来ています。次回からは今行われている転換の試みを具体的な例や問題点などをまじえて個別に考えていきたいと思います。

 「民意」は私の所に届けて頂くこともやぶさかではありません……念の為…。

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