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2012年12月10日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

リーマンショック以降、日本の株価が最もその影響を引きずっているのはなぜか。
ROE(株主資本利益率)をみると日本と欧米では3倍もの差がある。
つまり、日本企業は資本を十分に使って儲けていないのだ。
経営者の背中を押す「コーポレート・ガバナンス」(企業統治)が求められている。

 日本の株価はなぜ上昇しないのか。株式投資をしている人ばかりでなく、経済に関心のある人ならば不思議に思うだろう。2008年のリーマンショックで世界中の株価が大きく下がったが、他国の株価はショック前の水準を軒並み回復している。08年8月の約1万2000ドルから6000ドル台にまで下落した震源地米国のNYダウですら、1万3000ドルに回復した。

 ところが日本の日経平均株価は08年8月の約1万3000円から7000円台にまで下落した後、戻り高値は1万1400円。10月末現在は9000円を割り込んでいる。何とショック前の7割の水準なのだ。世界同時株安の原因である金融機関の経営危機とは無縁と言われた日本の株価が最も影響を引きずっているのはなぜだろう。

 東京証券取引所の斉藤惇社長は、記者会見のたびに「日本企業のROEが低過ぎる」と苦言を呈している。ROEとはリターン・オン・エクイティの略で、企業が株主から託された株主資本(自己資本)からどれだけの利益を生み出しているかを示す。具体的には企業の純利益を株主資本で割った比率だ。このROE、東証一部上場企業の平均は5%程度だが、米英の企業の場合は15%程度だというのである。

 つまり、日本企業は資本を十分に使って儲けていない、という指摘だ。それは個別の企業をみれば鮮明だ。「iphone5」も引き続き人気商品となったアップルのROEは42%(12年9月期)、「ウィンドウズ8」を発売したマイクロソフトは27%(12年6月期)である。低金利の中で、資本からそれだけの利益を生んでいる企業の株価が上がるのはある意味、当然だろう。

 一方、日本を代表する企業はどうか。トヨタ自動車は3%、住友化学は1%である。日本企業でもグローバルに競争しているコマツは17%、最近、経営改革を進めている日立製作所も22%(いずれも11年度決算)と高い企業も存在する。だが、多くの日本企業の収益力は低いのである。

 資本から利益を生むのは企業本来の役割である。ところが、日本の場合、この資本を溜め込んだまま、きちんと活用していない企業が多いことが問題視されている。

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