世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月11日

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 韓国は、経済・政治・軍事の全ての面で、大国ではないが小国ではない中級国家(a middle power)として過去10年以上に亘り、積極的な外交を展開し、独自の国際貢献を果たしてきた。次期大統領は、中級国家としてのビジョンのある外交政策を打ち出すべきである。問題は、候補者たちにビジョンのある外交政策を打ち出す指導力があるか否かである。これは投票結果を見なければ解らない。全ては経済で決まる。

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 韓国の外交政策は、北東アジアの安全保障環境にとって重きをなすファクターの一つであり、当然、日本としても注目する必要があります。それも、第一に重要なのは、米韓関係がどうなるかです。まず北朝鮮、そして、より長い目で見て中国への対応を見据えて、米韓同盟を確固たるものにしてくれれば、それだけ北東アジアにおける抑止力が高まることになります。また、日韓が共に米国の重要な同盟国であれば、戦略的利害関係が一致するわけですから、日韓の衝突が緩和あるいは回避されやすくなると考えられます。

 強力な米韓同盟の維持を唱える朴氏と、対中関係と対米関係のリバランスが必要であると言っている文氏の、いずれが地域の安定に寄与できるか、明白といってよいでしょう。

 安全保障面での日韓関係強化も、もちろん重要です。しかし、文氏は、日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)について、日本の軍事大国化と軍拡を助長するものだと言っており、その認識には大きな疑問を抱かざるを得ません。朴氏が当選すれば日韓安保協力が急速に進展する、ということはありませんが、まだ希望を持つ余地はあります。

 なお、米外交評議会の朝鮮半島問題専門家のスコット・スナイダー(Scott Snyder)上席研究員は、10月26日に同評議会のウェブサイトに掲載された論説で、「米韓防衛協力のための制度的基礎はしっかり出来ており、このような体制がある限り、仮に、両国の新大統領の間で政治的緊張や対立が起こるような場合にも、両国を結び付ける力になる」と述べ、オバマ・李明博両政権下で進展した米韓同盟の深化を指摘して、やや楽観的な見通しを示しています。制度的強固さというのは、よい着目点であることに間違いありませんが、韓国の新政権が「米中間バランサー論」などを持ち出してきたならば、それにも限度があるというのも、また事実でしょう。

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