世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月17日

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 10月25日付ウェッブChristian Science Monitor紙で、Grant Newsham 元駐日米国大使館員は、米国は、中国が領土紛争化させている尖閣諸島問題で、明確に日本を支持するべきである、と述べています。

 すなわち、米国は、自らが解決しなければならない問題を多く抱えているので、日中間の紛争に巻き込まれたくない。日中両国は、米国にとって最も重要な貿易相手国であるので、領土紛争も自然と解決してほしいと願っている。

 日中間の領土紛争は、 アジア地域、ひいては米国の安全保障を脅かすまでエスカレートする可能性がある。米国が日中両国と良好な関係を保ちたいと考えるのは当然であるが、時には、どちらかの側に立たなければならない場合がある。曖昧政策は外交上有効なこともあるが、今回は違う。尖閣諸島問題では、米国は、民主主義の同盟国である日本の側に立って、中国の嫌がらせ戦術に対抗すべきである。アジア諸国は、米国の行動を注視している。

 日本には、韓国やロシアとも領土紛争がある。しかし、日本は、武力の使用や武力による威嚇をしたこともないし、経済制裁を行なって、自国領土を取り戻そうとしたこともない。一方、中国は、この2年間、尖閣諸島周辺に監視船を派遣して、繰り返し嫌がらせを行なってきた。中国国内では、反日暴動を扇動した。そして、日本に対して、経済的脅しをかけてきた。中国政府要人やメディアは、日本や日本人に関して、攻撃的発言や歪んだ報道をしている。相手を悪魔のように仕立てる政策は、自国内の問題を覆い隠して外に目を反らせようとする戦術であるが、これは、文明国がすることではない。

 過去60年間を振り返って、日本ほど責任感を持った国は、なかなか無い。日本は、完璧な形ではないにしろ、度々、1930年代、40年代の行動に対して謝罪をしてきたし、アジア諸国に対して、数十億ドルの経済援助を提供した。それとは別に、アジア諸国に民間経済投資を行ない、アジア経済の成長を促進した。今日の日本は、中国が中国人に教えているような1930年代の日本とは違う。日本は、時に厄介なこともあるが、米国にとって信頼のおける同盟国である。

 米国は、尖閣諸島が日米安全保障条約の適用範囲だと再確認した。が、日本は、米国にとって、条約以上の国である。合意に基づいた政府、法の支配、思想・表現の自由、公正な貿易、知的財産権の保護など、米国と価値を共有する国である。

 米国一国で尖閣問題は解決できない。日中両国は、互いに話し合わなければならない。同時に、日本は、尖閣に近い南西諸島に、適切な軍隊を配置する必要がある。これにはリスクも伴うが、日本の公的な存在がほぼ皆無に近い状態では、地域の不安定化を招き、更に、日本には領土を守る関心や意思がないものと国際社会からは見られてしまう。

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