2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月25日

 中国の近海島嶼に対する戦術は、西太平洋における中国のA2/AD戦略の一環であり、米中間の誤算による衝突の可能性が高まっている、とのラックマンの指摘は、基本的に正しいものです。中国側の戦術の本質は、長期かつ執拗に、日米海軍などとの正面からの軍事的対立を極力避けつつ、相手の物理的、精神的消耗を待ち、ミスに乗じて「戦わずして勝つ」ことです。こうした戦術は、判断ミスなどによる偶発的衝突を引き起こしやすいのです。

  一点だけ、ラックマンの主張の中で気になるのは、米国が同盟国の領土問題に巻き込まれる、すなわち人質となることに関する懸念という米側の「本音」を書いていることですが、これも事実なので仕方がないと言えるでしょう。

 ラックマンは問題の解決方法については言及していませんが、それは、米国との同盟の強化、各同盟国個別の対中抑止力の向上、多国間協力の下での対中関与政策の継続などが重要、ということに尽きます。

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