世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月26日

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 今後の世界において、低所得国の中から新興国として急発展する国が現れることは期待できるが、その他の諸国は成長するにしてもそのペースは緩慢で、一律でなく、先進国の所得水準に達する国はほんの一握りであろう、と論じています。

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 論文の趣旨は、当を得ていると思われます。中進国経済が先進国経済に発展するには、単に世界経済環境に恵まれるのみならず、産業基盤の整備、技術開発、人的資源、適切な産業政策、国内の調和的発展などの諸条件が満たされなければなりません。高度成長が10年以上は続かないというのは、このような諸条件を継続的に満たすことの困難さの反映と言えます。

 BRICsはじめ途上国の経済がいっせいに急成長した2000年代は、いわば世界的バブルの例外的時代であり、今後は1980年代までのように、成長がまちまちとなるであろうとの予測は、その通りなのでしょう。

 中国については、「ルイスの転換点」に近づいているので、今後成長が鈍化するであろうと述べていますが、余剰労働力の消滅の他にも、貧富の格差、環境問題、不良債権問題など、成長の足を引っ張る要因がいくつかあります。それでも年数パーセントで成長すれば、年2~3%成長の米国をいつかは追い抜く計算になりますが、米国に与える心理的影響は、よほど穏やかなものになるでしょう。

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