あの挫折の先に

2012年12月21日

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夏目幸明 (なつめ・ゆきあき)

ジャーナリスト

1972年、愛知県生まれ。愛知県立豊橋工業高校から早稲田大学へ進学、卒業後、広告代理店に入社し、その後、雑誌記者へ。小学館『DIME』に『ヒット商品開発秘話 UN・DON・COM.』を、講談社『週刊現代』には、マネジメントの現場を描く『社長の風景』を連載。ほか、明治学院大学講師をつとめ就活生の支援を行う。『資格の学校TAC』では、就活生と一緒にエントリーシートを書き、面接練習を行う講座を持つ。
執筆記事:「社長の風景」(現代ビジネス)、「火力発電所奮闘記」(『VOICE』)、「ビジネスの筋トレ」(『フレッシャーズ』)、「就職活動セミナー」(『資格の学校TAC』)

第10回 旺文社デジタル事業部 
大ヒット教育アプリのPR担当者・池田隆大さん(31)

  旺文社といえば、古くは「赤尾の豆単」で有名な老舗の教育系出版社。多くの人が受験勉強で辞書や参考書を1冊は手にしたことがあるだろう。

 しかし、2012年に配信した約40本のニュースリリースを是非見ていただきたい。(http://www.obunsha.co.jp/news_release/2012) 誰もが抱く旺文社のイメージと、随分異なるのではないだろうか。

 内、26本のPRを担当したのが、今回取材した池田隆大である。

いけだ・たかおう/中央大学文学部を卒業し、04年に旺文社へ入社。学習塾向け情報誌を作る部門に配属され、06年10月から茨城県の学校に教材を売る営業になり、08年10月からデジタル事業部へ。背後の文字は旺文社の社是。手に持っているのは同社のロングセラー『英単語ターゲット1900』と、同コンテンツを搭載した電子辞書。

 「今日はヴィトンのバッグが安く買える授業をしまーす!」

 池田は大学時代、学習塾講師のアルバイトをしていた。冒頭のセリフは、中学生に為替の仕組みを教える授業で、池田が最初に言ったものだ。

 「勉強って本来は楽しいものなんです。ただ、興味がないのに押しつけられると嫌いになってしまう。だから、まずは生徒の興味を引き、そのあと、為替の仕組みを教えようと考えたんです」

 ほかの講師から教わった方法でなく、人間観察から生まれた独自の理論だった。そんな彼が旺文社へ入社したのは自然の成り行きだっただろう。余談だが、「天職」に就いた人は、学生時代から「なるほど、あなたにとってこの仕事は天職ですね」と言いたくなるストーリーを持っているもの。池田には、まさにこれがあてはまる。

「もっと面白いものが作れる」
当時、入社1年目の新人だった。

 彼は入社後、全国の学習塾に販売するパンフレット製作を担当した。旺文社が編集し、顧客である学習塾オリジナルの表紙をつけて納品、学習塾が生徒へ配布する冊子だ。入社時、彼はこれを見て、1年目の新人ながら思い切ったことを口にした。

 「これじゃつまらない。もっと面白いものが作れます」

 確信があった。

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