2024年4月25日(木)

ウェッジ新刊インタビュー

2012年12月28日

――神宮というと、2000年以上の歴史がある厳粛で神聖な場所、というイメージがある一方で、実際にお参りすると、不思議ととても穏やかな気持ちを覚えます。

著者・千種清美氏 (撮影:ウェッジ書籍部)

千種氏:神宮の緑に覆われた参道を、話をせずにただ歩いているだけで自然と気持ちが静まって落ち着いていきます。生い茂る樹々の葉のこすれる音や時折聞こえる鳥の声、自分が踏みしめる玉砂利の音といった自然の音や、時に神楽殿のほうから聞こえてくる笛の音(ね)に耳を澄ませると、静かで気持ちのよい空間に自分が包まれているように感じますね。

――前著『永遠(えいえん)の聖地 伊勢神宮』のなかで、神宮にかかわる人々へのインタビューの数々を読むと、皆さんの神宮への細やかな想いがとてもよく伝わってきます。今回も、様々にご奉仕される方々の日々の姿がうかがえます。こうした方々に接してきてどのようなことを感じていますか。

千種氏:神おわしますごとくにご奉仕されている姿には本当に心うたれます。それを当たり前のこととして声高に言うことなく、ただひたすらに自分のお役目を果たしていく――そうした姿勢、そしてその積み重ねが鎮座2000年という聖地をこれまで支えてきたのだと思います。いま神宮は第62回式年遷宮をいよいよ来秋に控えていますが、神宮に様々なかたちでご奉仕される人々の気持ちはこれからもずっと変わらないのではないでしょうか。そしてそれが、“常若(とこわか)の聖地”であり続ける大切な一部となっていると思います。

――これから初めて神宮にお参りしようという読者にぜひ伝えたいことはどんなことでしょうか。

千種氏:いよいよ平成25年秋には第62回式年遷宮が行なわれます。詳しくは本書をご覧いただきたいのですが(笑)、式年遷宮という、1300年以上前から20年に一度執り行われて来たお祭りが行なわれる歴史的なこの機会に、ぜひお参りしていただきたいと思います。神宮を訪れるとこの20年という歳月を実感できると思いますし、自分の来し方やこれからの20年を考える機会にもなるのではないでしょうか。

――千種さんの今後の抱負や神宮への思いについてお聞かせください。

千種氏:今回の式年遷宮については、最初のお祭りである平成17年の山口祭から取材を続けてきました。まず平成25年10月に行なわれる遷御の儀まで、これからも続くお祭りを見届けたいと思っています。式年遷宮がひと段落すると、その翌年からは別宮の遷宮が始まりますので、こちらについても取材を続けたいと考えています。


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