2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2013年1月21日

 なぜ2重取りが認められているのか。経産省は「発電設備の設置促進自体を目的とする補助金はFIT導入で廃止し、これを受給した設備への買取価格は、需給相当額を控除する」とした一方、「林業振興等その他の政策目的の補助金との併用は可能」と言う。林野庁は、「バイオマス発電事業者が受給した設備補助金の政策目的は、地域の雇用創出」と説明し、併用が認められた。

 しかし、FITは全てのコストに利潤を加えた買取価格なので、FITのみで同数の雇用はうまれる。本来、設備補助金は収益が上がる水準まで補助することで、事業を可能とし、政策目的(雇用等)を達成するものだ。ここで、収益が上がる別の仕組み(FIT)が整ったのだから、政策目的も果たされるので、補助金はいらなくなる。したがって、設備補助金は受給事業者の丸儲けであり、この分を買取価格から控除すべきだ。

 加えて、未利用間伐材の搬出には林業補助がついている。森林経営計画や、地方環境税を財源とする間伐補助だ。水源涵養機能維持などの政策目的があるにしろ、本来、FIT対象となった未利用材チップの買取価格は、これら3重の補助金分を控除すべきだろう。

査定の限界は構造上の問題

 第2の問題は、調達委が未利用材チップ価格を査定することは困難で、言い値が通りやすいことだ。

 調達委において、グリーン発電会津は未利用材チップ価格を1トン当たり12000円発電所着、水分率40%)と提示し、これが認められた。この提示価格がそのまま買取価格に反映された点で、価格設定に決定的な役割を果たしている。

 しかし、前篇の編集部取材によれば、グリーン発電会津が地元林業従事者に示した今年7月以降の原木買取価格は5000円(チップ工場着)なので、チップ化・乾燥・発電所への輸送等の費用を約3000円とすると、実際のチップ価格は8000円(発電所着)程度である。実際、FIT法導入以前に同じ事業者が提出した、農林水産省への設備補助金申請書には、8300円(同)で全く同じ事業を成立させると記載してある。


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