経済の常識 VS 政策の非常識

2013年2月25日

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 しかし、その後は同じようには伸びない。金融緩和は打ち出の小槌であるが、無限ではない。

 もし、名目GDPが3%増えた時、税収が6%永遠に伸び続けたらどうなるか。12年度の予測で名目GDPは約474兆円、税収は42.3兆円だから、税収は名目GDPの9%である。それぞれが3%と6%で伸びるとすると、20年後のGDPは856兆円、税収が136兆円になる。すると、20年後には、税収はGDPの16%となる。

 これは大増税しているのと同じである。不況から回復の時に税収が急増するのは、企業の利潤が増え、より多くの人々が仕事に就けて、法人および個人所得税が急増するからである。税率は、経済が安定的な状況を前提に国会で決めたものであるから、景気が良くなったときに税収が上がるのはなんら問題ではない。ところが、この最初の段階が終われば、その後は、名目GDPが1%増えれば、税収も1%余りしか増えなくなる。最初の増収を極力使わないようにすることが必要になる。

 これまでの内閣は短命すぎた。落城が決まれば、埋蔵金も今年の年貢も、全部使うのが合理的であった。自民党麻生太郎政権で10兆円以上、その後の民主党政権も10兆円弱の霞が関埋蔵金を使ってきた(財務省「日本の財政を考える」のその他の収入がほぼ埋蔵金の取り崩しに当たる)。しかし、新内閣が長期政権を狙うなら、財政再建も視野に入れるべきだ。

 そのためには総理に国民を説得する力が必要だが、その力は大胆な金融緩和から生まれる。反対を押し切って大胆な金融緩和を行い、景気回復と税収増に成功すれば、国民は安倍総理が正しく、それに反対した人々は間違っていたと気付く。すると国民は次に打ち出す政策にも賛成するようになる。

 次の政策の中に、穏当な財政再建路線を入れていただきたい。それは小泉政権と最初の安倍政権時代に成功していた路線でもある。安倍内閣時の06年と07年には政府債務残高の対名目GDP比は低下していたのである。

◆WEDGE2013年2月号より

 

 

 

 

 

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