チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年1月23日

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富坂 聰 (とみさか・さとし)

ジャーナリスト

1964年、愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、豊富な人脈を活かした中国のインサイドリポートを続ける。著書に『苛立つ中国』(文春文庫)、『中国という大難』(新潮社)、『中国官僚覆面座談会』(小学館)、『ルポ 中国「欲望大国」』(小学館新書)、『中国報道の「裏」を読め!』(講談社)、『平成海防論 国難は海からやってくる』(新潮社)、『中国の地下経済』(文春新書)、『チャイニーズ・パズル―地方から読み解く中国・習近平体制』(ウェッジ)などがある。

 2012年11月の党大会を経て新体制を発足させた共産党は、政権の試運転を終える今年3月の全人代(全国人民代表大会)を見据えて着々と人事の入れ替えを行ってきている。

 全人代が節目となるのは、党中央総書記となった習近平が国家主席に就任し、軍を含めた三権を手中にするためだ。「国に対する共産党の上位が憲法で保障されている国で、そんな形式的なことが重要なのか」といった声も聞こえてきそうだが、中国が抱える“人治”の要素は、権力にとって都合よく働く場合もあれば、逆に作用するケースもあるから、ことはそれほど単純ではない。

党の今後の生命線を握る政治改革

 胡錦濤総書記によって開催された最後の党大会となった「十八大」(中国共産党第18回全国代表大会)の政治報告でも強調されたように、党の今後の生命線は政治改革の成否にかかっている。

 そして中国でいま「政治改革」といったとき、その上位に「党政分離」という課題が入ってくることは避けられないのだ。

 事実、昨年末には中国の大学教授や弁護士など約70人から成る知識人のグループが、インターネット上で共産党に対して政治改革を突き付けた要望書である〈改革共識倡議書〉を発表して、一部で大きな話題を呼んだのだった。

 政治改革とか民主化要求と聞けば、すぐに10年にノーベル平和賞を授与されながら国家転覆の罪でいまだ収監されたままの劉暁波氏と彼らが発表した「〇八憲章」のことが思い浮かぶのだが、今回の〈改革共識倡議書〉は、同年に発表されて政治問題化した「〇八憲章」に比べれば内容的にはかなり穏やかなものになっている。

共産党を認める一方で
党に変化を求める「改革共識倡議書」

 「〇八憲章」が共産党の一党独裁を厳しく批判しているのに対して、〈改革共識倡議書〉はそれを認めつつ「汚職の撲滅」や「職権濫用の取り締まり」といった圧倒的多数の庶民が共感する要求が並べられているのだ。

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