2024年4月20日(土)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2013年1月28日

(図表3)産業別月間給与額
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 建設業は近年景気対策や雇用の受け皿として重要視されてきた。しかし、企業に利益がほとんど残らないユニット・レーバー・コストの水準では、建設業に活力をつけることは難しい。そして、相対的に低水準の建設業の賃金を上げる弾みにもならない(図表3)。

 高齢化社会を支える医療介護分野と同様に、安全で住みやすい国造りを支える建設業の雇用賃金がもっと良くならなければ、日本は良くならない。建設業が技術力を高め、スマートシティなど新たな要請に応えて、平均賃金を高める付加価値のある業務ウエイトを高める工夫も欠かせない。

 一方、金融・企業向けサービスのユニット・レーバー・コスト低下は、他の主要国と比べても際立っている(図表4)。2000年代以降日本の金融機関は巨額の不良債権を処理し、主要国金融機関とともに資本増強が求められるなど重い課題が相次いだことが大きな要因だ。

 しかし、金融機関の巨額の不良債権処理はすでに終了しており、資本増強も遠からず達成される。そうなれば、金融・企業向けサービス分野の低いユニット・レーバー・コストは、逆に成長のポテンシャルとなる。これからは、金融機関が成長産業として日本の雇用賃金拡大をリードする余地は大きくなる。

(図表4)主要国の金融・企業向けサービス分野のユニット・レーバー・コスト
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