2024年4月19日(金)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2013年1月28日

給与増減税に続けて、
六重苦解消に向けた政策を打ち出せ

 給与増減税は人件費を抑制している日本企業に賃金アップを促すばかりではなく、日本経済再生に直結して、縮小均衡的ですらある日本の企業を前向きにする大きな一助となる可能性がある。

 ただ、そのためには総合的な施策も必要なことは今述べたとおりだが、それは近年トレードオフのようになっている雇用と賃金との関係を解消させる意味でも重要だ。

 給与増減税が実施されれば、企業が正規雇用を増やし、相対的に低賃金の非正規雇用を減らす効果も想定される。しかし、非正規雇用者の正規化は大いに結構なことではあるが、収益が伸びにくい状況下では、雇用と賃金が二者択一のようになっている現状もある。

 それは、企業収益が伸びないまま給与増減税を先行させると、非正規雇用から正規雇用に移れない未熟練労働者や若年層労働者が雇用から取り残される懸念につながるからだ。このような弊害を取り除くためには、雇用・賃金両方が拡大できる企業の収益基盤強化は不可欠な前提といえる。

 給与増減税は、他の施策と組み合わせることで真価を発揮する。しかも、景気対策、六重苦対策、成長戦略などと組み合わせれば組み合わせるほど、効果は相乗的に大きくなる。安倍政権は、矢継ぎ早に政策を打ち出しているが、スタート時点だけのダッシュに終わるのではなく、これからがダッシュの本番だ。

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