田部康喜のTV読本

2013年1月30日

»著者プロフィール
著者
閉じる

田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 演出家が使ってみたい女優なのである。彼らは次々に上戸に新しい挑戦の機会を与えている。美少女の面影を残す彼女もいつか30代を目前にしている。演出家からみれば、女優としての上戸が脱皮して新たな相貌をみせる瞬間をみたいのであろう。

 「いつか陽のあたる場所で」は、上戸が、友人である飯島や周囲の人々とのふれあいのなかで、人間として成長していくドラマでもある。

 休日の飯島と動物園に遊びに行った上戸は、そこで大学のゼミの友人とその息子に出会う。彼女の袖口からみえた、家庭内暴力による傷を飯島は見逃さない。

 飯島と上戸はその息子を預かることになる。友人が夫と食事にでかけるためだ。

 どしゃぶりの雨のなかを友人が、上戸の家に子どもを連れ戻しにやってくる。

 その直前に、上戸は自宅から宅急便で送られてきた自分のぬいぐるみについて、その子に説明する。

 「わたしはね、習い事も下手だったし。お母さんにほめられたことがなくて。いつもこのぬいぐるみに話していたんだよ。でもね、やっぱり、直接話さないとだめだよ」と。

 顔と洋服に明らかに新たな暴力の跡をとどめた友人が、どしゃぶりのなかを逃げるように立ち去ろうとしたとき、子どもが泣き叫ぶように呼びかける。

 「おかあさん、笑ってよ。僕は笑っているおかあさんが好きなんだ」

 女優・上戸の成長ぶりを観るのが楽しみである。

[特集] ひと味違ったエンタメ情報!

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。

関連記事

新着記事

»もっと見る