2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年2月15日

 米国と韓国は20年以上も北朝鮮の不安定化がもたらす影響に対処しようとしてきたが、その間、中国はそうした取り組みから距離を置き続け、北朝鮮を主権国家として存続させようとしてきた。しかし、北朝鮮の内部崩壊はもはや仮定の可能性ではなくなっている。それが更に深刻な事態に繋がることを避けることは、米中にとって共通の利益であり、オバマ政権は、中国側にこの点を理解させる必要がある、と述べています。

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 金正恩政権の安定性については、外部からは判断し難いのですが、内部的危機が直ちに本格的な軍事挑発や核使用といった自滅的行動に繋がるとまでは、言い切ることはできません。ということは、ポラックは、北朝鮮の内部崩壊に伴う危機を避けることが米中の共通の利益と言っていますが、そういう前提は成り立たないことになります。

 ポラックが指摘している諸点について、米中間で協議できれば、それは結構なことのようにも思えますが、北朝鮮がそれを知れば、自暴自棄の挑発行動に出る危険性が、むしろ高まることになりかねません。

 結局、成果の期待できる目新しい策などというものはなく、中国に対して、北のミサイル発射に対する国際社会としての制裁に同意すること、北が核実験を行わないよう働きかけること、核実験が実施されたならばそれへの制裁にも同調すること、北が核・ミサイル開発を止め国際社会の協力が得られるようになるよう働きかけることなどを要請することなどを続けていく他はないのでしょう。

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