2024年4月20日(土)

解体 ロシア外交

2013年2月6日

ソ連時代から続くロシアとアルジェリアの深い関係

 ロシアとアルジェリアの関係は長く深く、その関係樹立はソ連時代に遡る。

 かつて、フランスに支配されていたアルジェリアが1954-62年に独立戦争を繰り広げたときに、軍事、物資、技術など多面的にアルジェリアを支援したのはソ連だった。60年にアルジェリアが臨時政府の形で事実上の独立を果たした際も、ソ連が即座に承認し、62年に正式に独立してからは公の外交関係を築いている。

 そして、1963年12月にソ連とアルジェリアは、戦後のアルジェリア経済を復興させる名目で、かなり広範囲にわたる経済技術協力協定を締結し、多額の長期貸付も行った。翌64年には、治金工場建設に関する技術供与および資金提供を行い、ソ連はアルジェリアへの関与を深めていった。こうして、工業プラントや鉄鋼プラント、治金工場、ダムなどの建設、農業開発、地質調査、戦闘要員の訓練など様々な支援も行っていた。

 相互の首脳訪問も行われ、経済的、政治的関係を深めていった。特に、アルジェリアが資源大国であったことから、ロシアはエネルギー生産に関する経験や技術を提供し、人材育成にも尽力したのである。80年代以降は、アルジェリア側の求めに従い、ロシアは高性能の欧米、日本のエネルギー関連製品を無償ないし長期ローン販売にて提供すらした。

 このように、アルジェリアが国家として世界に立ち位置を確保することができたのは、ソ連の後ろ盾あってのことと言ってよい。

密接に構築されるエネルギー分野の協力

 ソ連解体後もロシアとアルジェリアの良好な関係は続いた。関係は非常に多面的に構築されているが、特に、経済や軍事の側面での協力は密接で、中でもエネルギー分野での関係が突出している。

 2001年4月にはアルジェリアのアブデラジズ大統領(当時)がモスクワを訪問し、新たな二国間関係の強化の幕開けとなった。その間、両国間の戦略パートナーシップ宣言や多方面での協力に関する政府間合意なども出された。

 その後、国連など国際会議の場で、両首脳は数回会談していたが、2006年3月には、ロシアのプーチン大統領がアルジェリアを公式訪問(後述)、2008年にはアルジェリアのブーテフリカ大統領がモスクワを訪問して二国間の航空輸送に関する政府間合意を結んだ。2010年10月にはロシアのメドヴェージェフ大統領(当時)がアルジェリアを訪問し、その間、海事輸送や5つのメモランダムについて署名がなされた。これにより、エネルギー協力を含む経済関係と議会間協力を含む政治関係が以前にも増して強化されたのである。さらに、両国間の関係は、文化協力、科学、教育、スポーツ、観光まで網羅し、実に多面的となっている。


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