研究と本とわたし

2013年2月27日

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中田正則 (なかた・まさのり)

フリーライター

1956年京都府生まれ。早稲田大学卒。出版社等勤務を経て1986年に独立。以来、主として雑誌媒体で、ビジネス・経済・経営・人事分野の取材記事やインタビュー等を中心に執筆。

 アメリカは農業大国で、農民運動は政治を変えて行く上で非常に強い力を持っていたため、斎藤先生の授業でも最初の頃のテーマは農民運動についてでした。以来、私自身もずっとそこに関心を持ち続けていました。私の論文は、この『アメリカ現代史』の最後の方で考察されている部分とテーマが重なるのですが、ホーフスタッターの論考とは、少し違った見方ができるのではないかということを書きました。

 その意味では、現在の研究生活は斎藤先生の講義やそこで紹介された参考文献との出合いから始まっていると言えますね。

 大学の友人は、法学部だと卒業後の進路は自治省とか大蔵省(名称いずれも当時)などの官公庁が圧倒的。でも特に役所などは、どうしても組織の一部で、なかなか自分がしたいことはできないのでは、という予感があった。それならとにかく自分がしたいことをやってみる方がいいかなと考えて研究者の道を選びました。両親に「研究者になる」と言ったら、「何で東大法学部を出て学者になるのか」などと、ブツブツ言われましたけど、反対はされなかったですね(笑)。

――研究の世界では、アメリカ政治の専門家は、比較的少ないそうですね。

久保氏:国の歴史が浅いこともあって、大学の講座自体も少ないのです。政治史の分野ではアメリカは弱小で後発という見方があるという状態です。

 その背景には、日本がモデルにするのはスウェーデンのような社会保障制度が整った高度な福祉国家であって、アメリカは格差と差別がある国だというようなイメージがあると思います。メディアの取り上げ方も同様ですね。

 確かにそれは当たっている部分もあります。でも、本当にスウェーデンのような環境にしたければ、消費税は20%以上にしなければいけないし、その一方でアメリカは先進国のなかでは経済成長率が高くて、日本はなかなか真似ができないといった部分があるのに、そういうところはあまり注目されていない。

 だから学生でも、アメリカは真剣に学ぶ対象ではないと思っているような人も見受けられますね。それにこの前の大統領選挙でもそうですが、アメリカについての一般的な情報や文化は非常にたくさん入ってきているでしょう。ヨーロッパやアフリカなどと比べて、自分はもう十分に知っていると思い込んでいるケースは多いようです。

 本当はある意味で、日本にとって一番大事な国で、きちんと正面から研究や分析の対象にしなければいけない存在なのですが、そういう意識が、日本人は薄いのかもしれません。

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