2024年4月19日(金)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2013年2月26日

 しかし、物価が経済状態の体熱であり、そこに国民や企業のマインドまで影響しているとなれば、なおさらのことデフレに安住しているわけにはいかない。なんとしてでも、経済状態を改善し、マインドを引き上げて体熱を上げなければならない。

 デフレ脱却は日本経済活性化の前提ではあるが、結果でもある。物価マインドの違いまで含めると、なおさらその観が強い。したがって、バランスよく物価目標2%が達成できるかどうかは、円安、規制緩和、賃上げ、設備投資の活発化、景気刺激などあらゆる手段を同時に駆使しつつ、強力かつ早期に国民と企業の縮み志向のマインドまで変えられるかにかかっている。

 さらにいえば、欧米のインフレが2%程度で安定している大きな理由のひとつには、欧米では2%程度の賃上げと価格転嫁が許容されていることがある。一方、日本では、賃上げ分が価格に転嫁されるのは以ての外との意識が定着してしまっている。この意識を変えることが、物価目標2%実現だけではなく、努力すれば賃金が上がるとの当たり前のことが実現することにもなる。

 日本も、価格を上げられないから賃金を上げないのではなく、より良質の労働が得られるのであれば賃金を引き上げ、その結果として付加価値が上がった財・サービスの価格を引き上げる普通の国に戻らなければならない。

 これが物価目標2%の含意であり、物価目標2%の成否はアベノミクスの成否そのものと重なっている。もちろん、物価目標2%が満足する形で達成されるときには、日本の低成長は終わりを告げ、経済は活性化することになる。

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