2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年3月4日

 3.「半島の非核化だけでなく地政学的戦略について、米韓両国が共同で中国と話し合うこと」

 北朝鮮に関する米中の対話がうまく行かなかったのは、中国の半島に対する関心が、地政学的見地に焦点を置くものであることを、米国が十分に意識せず、非核化問題のみを論じていた為である。朴槿恵次期大統領は、米中協力の必要性を強調し、南北関係の安定を望み、中米韓三国対話を提唱している。この三国が北朝鮮支援の為に協力できれば、北が三国の間の対立を利用する余地も無くなる。

 4.「北朝鮮の国民に外の世界を体験させること」

 北朝鮮は、非核化が米朝関係正常化のための必須の前提であることを理解していない。然し、このことで、北朝鮮人の米国その他の国との非政府レベルでの文化的、教育的交流を妨げるべきではない。米国政府は、このような交流の経験により、北朝鮮に変革の種が芽生えること、両国民の間に信頼が生まれることを期待し、このような交流の機会を助長すべきである。同時に、北朝鮮の深刻な人権問題を追及する国際的努力も推進すべきである。最終的には、米朝関係の打開や北朝鮮の地域への統合は、政府の力ではなく、国民の力で達成されるだろうと見られているからである、

 との提言をしています。

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 北朝鮮が三回目の核実験に踏み切った現状では、高名な北朝鮮専門家であるスナイダーの唱える四つの施策は、何れも意義はあるが、即効性のあるものではありません。北朝鮮への対応が手詰まり状態にあることの反映であります。

 北朝鮮が三度目の核実験に踏み切った今、国際社会としては、厳しい制裁を課すことが先決であり、その際、中国の協力が不可欠です。スナイダーは制裁よりも関与政策が必要との考えのようですが、厳しい制裁措置を続けることにより、最早、北朝鮮のこれまでのやり方は通用しないということを理解させて、初めて、スナイダーの提案が役立つような環境が出て来るものと考えられます。

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