世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年3月7日

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 豪ロウィー研究所のメドカーフが、The Diplomat誌のウェブサイトに2月1日付で掲載された論説で、豪政府が最近発表した戦略文書について、昨年発表された豪アジア白書に比べれば、バランスが取れているが、国防費の削減と矛盾している点など指摘し、豪州の安全保障政策の針路を見定めるには、新しい国防白書を待つ必要がある、と述べています。

 すなわち、豪州の新しい戦略文書(Strong and Secure: A Strategy for Australia's National Security)は、豪州の安全保障上の懸念が何か、キャンベラはそれらについて何をするつもりなのか、明らかにすることを意図しているが、それは、最近の国防費削減と調和していない。最近、ギラード政権は、国防費を、1930年代以来最低となるGDP比1.6%まで削減した。これは、各国が、軍の近代化を優先事項としているインド―太平洋地域にあって、異常なことである。

 中国軍の近代化から、潜在的な政治的および経済不安にわたる、中国のパワーの不確実性が、キャンベラの安全保障コミュニティの関心事の中心を占めていることは、2009年に当時のラッド首相が発表した国防白書が示している。同白書は、12隻の次世代潜水艦を造るなど、より強力な軍を作るとしていたが、その計画は、中国を不必要に刺激すると非難され、ろくに予算がつけられなかった。

 2010年にラッドが失脚して以来、豪政府は、彼の壮大な計画をひそかに撤回しようとしてきた。それは、戦略環境が安全になったからというわけではなく、今年行われるはずの選挙で、票になりそうもない、あらゆる分野の支出を削りたかったからである。

 一方で、キャンベラは、米国との同盟を強化し、オバマ政権のリバランス戦略と歩調を合わせてもいる。

 新しい豪州の国防戦略は、アジアにおける主要な問題として、国家間の緊張の増大に焦点を当てており、テロが去ったわけではないことも認め、軍事力への理解もある。これは、ポジティヴな面ばかり強調し、リスクを軽視していた、豪アジア白書(Australia in the Asian Century)に比べて、アジアの将来についてバランスのとれた見方をしている。

 しかし、今年発表されるはずの、新しい国防白書を待たなければ、安定的なインド―太平洋の秩序から得られる、豪州の国益に適った、海軍力の近代化とそのための予算についての信頼できる計画が提示されるかどうかわからない。

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