経済の常識 VS 政策の非常識

2013年3月6日

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保守政党の役割は企業の自由を守ること

 世界的に、保守政党とは、企業家精神の旺盛な人々の自由な行動こそが、国を富ませ、強くすると考えるものである。アメリカの共和党やイギリスの保守党がそうである。それに対して、左派の政党は企業の自由な活動を抑制し、彼らの意図としては、企業が人々のために良きことをするように指導すべきと考える。例えば、解雇をさせない、最低賃金を上げるなどの規制をすることが良いことだと考える。

 日本の保守政党は、企業の活動を制約しようとする。左派の政党は当然そうするのだから、これでは日本の企業は自由になれない。日本経済の停滞には、このことが関係しているのではないだろうか。

 もちろん、アベノミクスでいくら金融緩和をしても、物価が上がるだけで賃金が上がらないのではかえって生活が苦しくなるとマスコミが言うので、政治家としては賃金を上げろと言いたくなってしまう。また、民間企業の労働組合を自民党の方に引き寄せようという政治的な思惑もあるのだろう。

 しかし、先述したように、金融緩和の目的は雇用を増やすことで賃金を上げることではない。もちろん、金融緩和で雇用が伸びて、失業率が下がっていけば、いずれ賃金は上がる。しかし、雇用が伸びる前に賃金を上げては、かえって雇用の伸びを妨げることになりかねない。

 ただし、現在、賃金を上げると言っている企業のほとんども、業績連動型のボーナスを上げるだけのようであるから実害はほぼないだろう。企業が儲からなかったときにはボーナスが減っているのだから、儲かるようになったらボーナスを上げるのは当然のことだ。しかし、実害が少ないから良いというものではない。問題は、企業に対する哲学の違いである。

 そもそも日本社会は、会社に様々な役割を押しつけてきた。高度成長期の会社は、雇用を安定させ、失業を出さず、医療保険や年金を引き受け、住宅を提供し、保養所を作り、社内運動会などのリクリエーション活動を行い、実業団スポーツ選手も抱えていた。低成長期になって、会社はそのような負担に耐え切れず、社宅や保養所を売却し、スポーツから手を引き、年金や医療保険からも逃げ出したがっている。

 もちろん、企業は人を雇って利益を得る存在だから、雇用から手を引くわけにはいかない。しかし、人をどれだけ雇い、どれだけの賃金を払うかは企業の自由のはずである。自民党が左派政党と同じになっては、日本の企業は窒息する。

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