2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2013年3月11日

トレーラーハウスの室内。高気密、高断熱の寒冷地仕様のため冬でも快適で、部屋にいるとトレーラーハウスの内部であることを忘れる。各部屋に風呂、トイレもある

 昨年4月に事業計画書を書き上げ、5月に正式に申請。6月、「第5次グループ補助金」の指定事業として交付が決定した。総事業費約4億5000万円の半分を国が、4分の1を県が補助。それでも佐々木さんや遠藤さんら旧旅館主は1人あたり3500万円近いローンを抱える覚悟だ。

 今回取材した旧旅館主や地元商工会関係者のだれもが「キーマンは小松さん」と語る。前組合長の鈴木さんは「最初に会った時は被災地でよく見かける偽善的なボランティアか、トレーラーハウスの営業マンかと思った」と笑う。だが小松さんの熱意とアイデア、行動力が当事者の心を一つにした。「被災者にも復興のための熱意やアイデアはある。だが、それが実現するとは思い描けないぐらいに打ちのめされていた。当事者でない人の行動力がどうしても必要だった」(鈴木さん)。

 開村式の挨拶に立った佐々木さんはしばらく涙で声を発することができなかった。「私たちを支えてくれた人たちへの恩返しをするために、今度は私たちが困っている人たちに光を照らしたい」。トレーラーハウス宿泊村が町に人を呼び戻し復興の礎になる。「エルファロ」はスペイン語で「灯台」を意味するという。

(撮影:編集部)

[特集] 東日本大震災からの復興と教訓

◆WEDGE2013年2月号より

 

 

 

 

 

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