ワシントン駐在 政治部記者が見つめる“オバマの変革”

2009年3月6日

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飯塚恵子 (いいづか・けいこ)

読売新聞政治部次長
上智大学卒業後、読売新聞社入社。政治部記者として首相官邸、自民党、外務省、防衛庁などを担当。1998年から2000年まで那覇在住、03年から06年までロンドン特派員。

“Hey guys! What do you think of my....this spiffy ride here?”
「やあ、みんな。僕のこのスピッフィー・ライド(素敵な搭乗)はどうだい?」 

機内で、最高司令官として大統領紋章をあしらった紺のジャンパーを羽織るオバマ氏  出典/White House

 1月20日の就任後、オバマ米大統領が初めて大統領専用機「エアフォース・ワン」に乗ったのは、2月5日。離陸直前には、同行記者団が乗り込んだ機体後方に顔を出し、上機嫌でこう語りかけた。

 2月19日には、初外遊として隣国のカナダを訪問した。オタワで専用機のタラップを降りる大統領の足取りは、実に軽やかだった。

初外遊先のカナダにて 出典/White House

 軽やかさの裏には、大統領が自らに課していた一つの禁忌があるのではないか。著書"The Audacity of Hope: Thoughts on Reclaiming the American Dream"(2006年出版。日本語翻訳版は「合衆国再生―大いなる希望を抱いて」)の中で、オバマ氏は、上院議員時代に自家用ジェットの飛行を気に入ってしまった経緯とその魅力を克明に描写している。

 「自家用ジェットだと、空を飛ぶ時間が(商用機と)かなり違う。(中略)ターミナルで急ぐ必要がない。遅刻しても飛行機は待っている。早く着いても準備が出来ている。(中略)そして、飛行機そのものがいい。初めて乗ったのは、サイテーションXだった。優美で、コンパクトで、木目のパネルがついた輝くマシンで、いつでも眠れる革のシート。(中略)離陸すると、高級スポーツカーが地面をつかむように、ロールス・ロイスのエンジンが空気をつかむ。(中略)人々がこれにはまってしまうのが理解できた」

 飛行機はオバマ氏の所有ではない。当時の規則で、上院議員とその候補は、第三者の自家用ジェットを商用機のファースト・クラスと同等料金で借りられる、という規定があり、忙しい日程をやりくりするために自分も活用した、とオバマ氏は説明する。

 ところが、オバマ氏はその後、その魅力をあきらめざるを得なくなった。ワシントンで、ある贈収賄スキャンダルが起きた後、ロビイストの影響力の抑制を目指す動きが強まり、スタッフがオバマ氏に自家用ジェット利用の自粛を進言したのだ。飛行機を貸す「第三者」の中には、ロビイストも当然いるからだろう。

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