2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年4月1日

 ・幅広い多数国間の対応をするべきである。英、独、イスラエル、豪州、韓国、日本などと話し合い、抜け道のないような対策を講じるべきである。

 ・政府と民間の協力を進めるべきである。中国は政府も民間も攻撃対象にしている。

 ・外交上の対応以上の対応がいる。商業活動も影響を受けている以上、その面での対応もいる。中国のやり方は国際規範に違反する。

 ・中国にもっときつい対応をすべきである。サイバー問題で協力を呼び掛けるのではなく、もっときちんと対応すべきである。

 この件について、中国は米の反応を無視しているが、米は中国のやり方は正統性に欠けると明確にして、官民あげて、国際的に多くの国を巻き込んだ包括的な対応をすべきである、と論じています。

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 本論説は、サイバー問題についての中国の考え方を紹介し、米を含む諸国がどう対応すべきかを論じたものであり、的を射たものと評価できます。

 中国は米の対応を非難するだけで、今回のサイバー攻撃についての米国内での反響を無視している。こういう中国の対応は遺憾であり、是正を求めて行く必要があります。

 情報機関が行う秘密工作については、発覚した場合もシラを切り通すものであり、そのために秘密工作の前にplausible deniability(妥当な否認権)があるか否かを検討することがあります。中国は、plausible deniabilityの基準を軍の行動にもあてはめて、事実を頑強に否認する嫌いがあるようです。火器管制レーダー照射でも似たような対応をしています。

 中国のサイバー攻撃の実態を良く解明し、それに強力な対応策を展開していくことが必要です。今回のマンディアント社の功績は大きなものですが、米国家安全保障局には、より多くの知見があるものと思われます。

 この問題を重視し、かつ協力より対抗を打ち出していくことで、今後の中国のやり方へのけん制になるでしょう。そうしなければ、中国は事実を否認したまま、これまで通りのやり方を続けることになります。

 我が国もサイバー攻撃の対象になっていることを自覚することが、対応策を考える上で必要不可欠な大前提ですが、まだ到底十分とは言えないように思われます。

[特集]サイバー戦争

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