2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年4月3日

 ただ、現在のところ、中国の対北朝鮮政策は、北朝鮮の体制転換に至るようなことは避けるという方針に変わりはないようです。この論説の真意も、北朝鮮への最大限の警告ということかもしれませんが、筆者が共産党中央党校機関紙の副編集長であることなどを勘案すれば、この新戦略は、中国の選択肢の一つに入っていると考えた方が安全でしょう。

 これに対して日本は如何に備えるかが大問題です。まず、民族の統一には絶対に反対してはいけません。日本が少しでもこの点で曖昧な態度を示せば、新たに百年の遺恨を遺すことになります。

 日本が持つ最大の梃子は、膨大な額に達すると予想される、統一経費の負担です。その負担に際しては、米国と密接な協議の上、統一戦線を組んで、核の廃絶、出来れば米韓同盟の存続などの条件の達成を図るべきです。核の廃絶については、中国との協調も必要となるでしょう。

 いずれにせよ、中国が北朝鮮を放棄しないことを自明の前提条件とするべきではなく、日本としても、あらゆる想定に基づいて北朝鮮政策を考える必要があるということを再認識させてくれる論説であると言えるでしょう。

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