2024年4月26日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年3月28日

 「中国海警局」には警察権限が付与され、公安省の指導下で活動。初代局長には公安省次官の孟宏偉氏(国家海洋局副局長を兼務)が既に任命された。

 中国には「五竜」と呼ばれる5つの海上保安機関があったが、取り締まりの非効率さや縄張り争いなどの弊害が指摘されていた。今回の機構改革により、海上交通の安全監督や船舶汚染の防止など、主に国内での活動を主務とする交通運輸省中国海事局を除く、「四竜」が一体となった。

 昨年5月15~16日、中国浙江省広州市で開かれた初の日中海洋協議には日本から外務省、防衛省、海上保安庁など、中国からは外務省、国防省と「5竜」などが参加した。今後、海上保安庁の主なカウンターパートは中国海警局となる。

 尖閣周辺のパトロール機能の強化は警戒すべきことはもちろんだが、今後、東シナ海での衝突を回避するための協議では、チャンネルが一本化され、双方の意思が伝えやすくなるという利点はあるかもしれない。

 今回の政府機構改革では、総合的な「国家海洋発展戦略」を制定し、海洋に関する重大事項を協議するハイレベルの「国家海洋委員会」も新設される。委員会の実務は国家海洋局が担当するので、同局は事実上格上げされたことになる。

原則は譲らない
知日派外相・王毅氏

 李克強首相の指名により、新しい外相には日本語が堪能な知日派、王毅氏が就任した。2004年から3年間、駐日大使を務め、日本の政界とも太いパイプを持つ王氏に対日関係の改善を期待する向きもあるが、逆に「親日派」「売国奴」などの批判を浴びないよう強硬姿勢をとるとの見方が優勢だ。

 王氏はハンサムで、人当たりも良いが、名前の通りに心は強く、原則は決して譲らない。2010年3月、王氏は台湾事務弁公室主任(閣僚級)のころ、来日し、都内のホテルで日中の専門家や一部メディア関係者との懇談会に出席した。

 筆者も同席したが、ある日本の学者が「中国と台湾」と発言したところ、王氏は「一つの中国」の原則を掲げて「大陸と台湾」というべきだと文句を付け、険悪なムードになったことがあった。

5月に日中首脳会談か
難しい選択を迫られる日本

 就任後、外務省のウェブサイトに掲載したあいさつ文でも、今後の外交方針について「国家の主権、安全、発展の利益を揺らぐことなく守る」と強調し、習主席ら最高指導部への忠誠を誓った。


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