中島厚志が読み解く「激動の経済」

2013年3月28日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

経済産業研究所理事長

1952年生まれ。東京都出身。東大法学部卒業後、75年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。パリ興銀社長、日本興業銀行調査部長、みずほ総合研究所専務執行役員チーフエコノミストなどを経て現職。著書に『統計で読み解く日本経済 最強の成長戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『日本の突破口―経済停滞の原因は国民意識にあり』『世界経済連鎖する危機―「金融危機」「世界同時不況」の行方を読む』(東洋経済新報社)など。

 足元やや一服したとはいえ、ダウ平均株価が10日連続で上昇するなど、米国の株価上昇が目立っている。ダウ平均の10日続伸は1996年11月4~15日以来16年4カ月ぶりで、背景にあるのが米国の景気回復への期待だ。

 確かに、景気は回復基調にある。くわえて、シェール革命、金融バブル崩壊後の調整進展やFRBの量的金融緩和政策など回復を後押しする要因にも事欠かない。

 米国経済ははたしてこのまま景気が回復し、株価が堅調な推移を見せるのだろうか。足元の状況や歴史も合わせて注目しておくべきポイントと、それを踏まえて日本として注意しておくべきことをみておきたい。

米国株高を後押しする3つの要因

 米国では、膨大なシェールガスの採掘が進んでいる。安くて豊富なシェールガスの増産で、とりわけ化学産業や電気・ガスなどの公益業種の収益が好調(図表1)となっており、株価を支える一因ともなっている。

(図表1)米国業種別収益動向
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 くわえて、シェールオイルの原油可採埋蔵量もサウジアラビアの3倍を優に超えるとの見通しにある。ガスと石油でのシェール革命によって、米国ではIT産業にくわえて化学なども含む幅広い石油・ガス関連産業もと、経済をけん引する産業が変化しつつあるとの観すらある。

 また、サブプライムローンなどで大きく増加した家計債務は、リーマンショック後着実に修正されている(図表2)。昨年以降住宅価格が上昇に転じ、ローン返済などで一時6%台後半にまで上昇した貯蓄率も足元は平均で3%台にまで縮小するなど、2000年代の金融バブルが崩壊した影響は癒えつつある。

(図表2)米国家計債務の可処分所得比
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 さらに見逃せないのが、大胆な量的金融緩和政策の効果だ。米国のFRBは、リーマンショック後の大きな景気後退の中で、景気を支えるとともに物価がデフレに陥らないように、3次にわたって大胆な量的金融緩和政策(QE1~QE3)を行ってきた。

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