2024年4月20日(土)

オトナの教養 週末の一冊

2013年4月5日

――本書にはアフリカに消費爆発が起きていると書かれています。今までのアフリカに対するステレオタイプなイメージ、たとえば貧困であったり……というとなかなかイメージしづらいのですが、具体的にどんなことが起きているのでしょうか?

平野克己氏 (撮影:本多カツヒロ)

平野氏:アフリカの経済成長を支えているのは内需、それも個人消費なんです。一番象徴的なのは携帯電話ではないでしょうか。いまアフリカでは携帯電話が世界最速のスピードで爆発的に普及しており、2002年には3~4パーセントだった普及率が、現在では60パーセントです。都市部ではほとんど全員と思えるほど普及し、また農村部でも普及しています。80年代、日本はアフリカにデジタルラインを引く援助をしましたが、うまくいきませんでした。携帯電話が普及するまで、アフリカには固定電話の数が少なかったのですが、固定電話を飛び越えて一気に携帯電話が普及しました。

 また、スーパーマーケットやショッピングモールがあちこちにできて、かつてはなかったさまざまな商品が並んでいる。自動車も家電製品も売れている。こういう分野では南アフリカの企業がアフリカ中に進出していて、圧倒的な強みを発揮している。

――インターネットも普及しているのでしょうか?

平野氏:インターネットはまだあまり普及していません。アフリカで普及している携帯電話は日本で流行っているスマホではなく、現在日本で使われている携帯電話の2世代前くらいのもので、プリペイド式です。基本的には通話機能中心ですね。また独特の使われ方もしていて、家族と連絡する際に、2回コールをすると無事という合図もあるそうです。

――それらの消費を支えているのは資源開発なのでしょうか?

平野氏:イラク戦争が起きた03年から資源価格の上昇が始まりました。また中国の資源輸入がすごい勢いで増え、資源ビジネスの収益率が上がって、これまで掘られずにいた高コスト案件が動きはじめた。それで、アフリカの石油や鉱産物を採掘しようと海外から投資が入ってきた。海外からの投資額は、国によってはGDPの半分にも達しています。

 その結果、資源部門を中心にさまざまな生産力が拡大してアフリカの所得が増える。その所得を、アフリカ人が主に消費に回しているわけです。投資は外から入り、その成果をアフリカ人が消費する、そういう構図です。


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