世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年4月15日

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 在ドバイManaar Energyコンサルタントのロビン M. ミルズが、3月8日のフォーリン・ポリシー誌ウェブサイト掲載の論説で、経済成長・先端技術・環境配慮・中東情勢の地政学変化等から、米中エネルギー獲得競争の意味合いが変わってきており、今後については中長期の総合的なバランス感覚から注目すべきである、と論じています。

 すなわち、速報値によると昨年12月の米国の輸入原油量は約600万バレルで1992年2月以来最低水準に落ちる一方、中国の同輸入は612万バレルに跳ね上がり、中国が1972年以来長年、世界最大の石油純輸入国だった米国を初めて追い越した。この数字自体はそれほど重要ではないが、中国の巨額輸入傾向は今後とも続く見通しだ。

 これは米国に対する悲観論ではない。アメリカ人はどんな場合でも第2位にはなりたくないかもしれないが、こうなったのは米国のエネルギーモデルが優位になった証明でもあるからだ。米国は一貫して環境への配慮を強め、多様なエネルギーを生み出す新技術の開発を進めている。一方、中国の原油輸入依存の高まりは中国経済の脆弱性の証でもある。

 世界中がリーマンショックで落ち込む中で、中国は世界経済の牽引車として高度成長を続け、2006年には世界最大のCO2排出国、2010年には世界最大のエネルギー消費国になった。資源獲得への貪欲さにより、これまでも石炭、鉄鉱石、アルミニウム、銅、金、小麦、肉等など多くの資源・商品の最大の消費国になっている。数年後には中国は世界最大の経済大国として米国を追い越すだろう。

 中国の成長は、過去10年間にわたって記録的な原油価格の最大の要因となってきた。それは、アラブ湾岸諸国に好況をもたらし、ロシアのプーチン大統領やベネズエラの故チャベス大統領などの独裁体制を後押しし、先進国には食糧・燃料価格の高騰、その結果、水圧破砕における画期的方法でシェール・ブームを導き、風力発電や太陽光発電などの画期的なエネルギー技術を導いた。米国は2017年までに世界最大の産油国になる見込みで、LNG輸出も計画されている。

 中国は周辺国と領土・海洋の安保問題を抱えている。日本、フィリピン、ベトナムなどと東シナ海と南シナ海における石油資源に恵まれた領土をめぐって争い、ペルシャ湾と西アフリカからの長いエネルギー供給線を憂慮している。それに加えて、国内では大気汚染問題が急浮上している。中国は米国の成功を繰り返すことができるか、疑問符が付いている。米国同様に厳しい燃費基準設定して、色々と取り組む意向は有るものの、北京にとって道のりは長い。中国経済の減速は中国国内で深刻な不安を招くだけでなく、世界のエネルギー企業や石油輸出国の全てを混乱させる可能性がある。

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